WT SQ2020.11

ワールドトリガーをより深く楽しむための当ブログ。
ジャンプSQ2020年11月号に掲載の第202話について、感想と考察の記事になります。

ガロプラ⑭

先月の2話で大きく話が動き始めましたが、今月号はその締めくくりとなる話。
2か月ぶりの1話掲載ですが、幕間は今回までという雰囲気でしたので、いよいよ選抜試験編が始まりそうです。

つい気が急いてしまいますが、まずはいつもどおり今月号の感想や考察から。

今月もツッコミ役に徹するレギー。
読者の気持ちを代弁するツッコミ役もこなすレギーの万能感が凄い。
メタ的には大活躍ながら、作中での扱いは割と反比例なところも良いですね。

「今はその子が 母トリガーを動かしてる そこから生まれるトリオンをコンピューター…… えーとつまり機械で調整して 『ボーダー』はあれこれやってるわけだ」
「それは……その『王女』が 新しい『神』になった ということですか? そうだとすると逆に 規模が小さすぎるように思えますが……」
「いや トリガーを動かしてるだけで 『神』にはなってないよ」

第202話:林藤とラタリコフのセリフより

先月の考察では神と継承者が別なのかと思っていましたが、それも少し違うようです。
マザートリガーを動かすことができるのが「継承者」というのは先月明らかになっていましたが、林藤の説明に対するラタの反応からすると、「神」もまたマザートリガーを動かせるのでしょうか。
通常は継承者が神になってマザートリガーを動かすのがセオリーで、玄界では敢えて神不在で動かしているという形なのかもしれません。

「冠トリガーってのは簡単に言うと 母トリガー直属の その星で一番強力なトリガーだ」

第202話:迅のセリフより

マザートリガーに続いて近界の根幹となりそうな設定が登場しました。
近界そのものを創り出しているであろう「ワールドトリガー」の存在が明らかにされる日も近いのでしょうか。

先月、雷神丸を近界の生物かカピバラに擬態したトリオン兵かと面白半分に考察しましたが、よもやクラウントリガーとは。
しかも怪獣大戦争的な可能性まで秘めているとは思いもしませんでした。

さらに話は玉狛支部とガロプラ遠征部隊との同盟の話に。
取り引きだけの交渉からもう一歩踏み込んできましたね。
やはりこれは遠征落選からのガロプラ経由で近界渡航の布石か?

「俺も正直 お互いやれることは少ないだろうなとは思う ……が それでもそちらさんと手を組むべきだと こいつのサイドエフェクトが そう言ってるらしい」
「おれには あんたたちの未来が見えるんだ」

第202話:林藤と迅のセリフより

遂に迅のサイドエフェクトがボーダー以外にも明らかにされました。
チートすぎて話の流れ上では使いどころの難しいサイドエフェクトになっていましたが、出し惜しみせず交渉カードに使ってきました。
黒トリガーと並んでボーダーの有する最強カードの一角ですから温存するかと思いましたが、これは少し意外な展開。
ただ、隷属させられているとはいえ敵国と同盟を組むのであれば、やはり説得力のある理由が必要ですから、これはこれで納得できる流れです。

ガロプラ側も、きっちり迅のサイドエフェクトの真偽を試したうえで同盟に乗るなど、こちらも丁寧な描写。
こういう下準備を丁寧にしておくと、後々、自然な流れで話を動かすことができそうで楽しみですね。

ラタの言う「うちの技術者」とは若きガロプラの天才エンジニア、ヨミでしょうか。
こんなこともあろうかと、で偶々持ってきていたトリガーでした、というご都合主義はワールドトリガーの作風には合わないので、ヨミがこの数日で即席で準備したトリガーのような気がします。

ガロプラの便利枠担当。若くしてガロプラの技術開発室チーフの地位を占める、遠征団の最重要戦力。独自のトリガー改造技術はアフトクラトルからも誘いがかかったほど。

JC16巻:ヨミの紹介より

他のトリガーに傍受されず、位置の探知だけであれば距離制限なしというのは些か便利すぎる超性能トリガーな気がしますが、通常のトリガーでは探知できない、もしくは自然界のトリオンに紛れてしまうほどの微弱なトリオンを出す発信機と、その特定のトリオンのみを探知することだけに性能を振り切った特化型受信機というトリガー、のような設定がありそう。

「アフトの属国のデータをもらったことで おれは三門市を守ったほうがいい感じになりそうなんだよね 未来的に」

第202話:迅のセリフより

通信機は修に託されることになりましたが、その理由として挙げられたのが迅の遠征不参加。
迅の遠征の参加については8月号のときの記事で予想しましたが、不参加の方できましたか…。

主人公4人のうちの1人が作中で長期離脱ということになるのでしょうか?
そして修たちを助けるという約束フラグはいつ回収されるのか…!
当時は遠征編で回収する展開を予想しましたが、選抜落ちからの近界渡航で回収するのか、遠征編で助っ人として登場して回収するのか、はたまた帰還後に回収することになるのか、ちょっと先が予想しづらくなってしまいました。

「…わかりました 今の話は忘れてください」

第202話:修のセリフより

ガロプラが迅のサイドエフェクトを試したように、修もガロプラの真意を試しています。
ガロプラの立場からすると、前回の交渉時にいた支部長はいないし、陽太郎に続き子どもが出てくるわで、どういう受け止め方をしたのでしょうか。

玉狛側からすると、密かにガロプラの真意を探るために遊真の立ち合いは必須だったのでしょうが、修はそのカモフラージュという役回り?
友好的であることをアピールするための子ども隊員による挨拶で、ただの子どもというだけではないことを窺わせる指摘を見せつつ、その裏で遊真が真偽を見抜いていたとすると、修も100点満点の立ち回りだったと言えるのかもしれませんね。

考察

今回は先月号を補足するような内容が多かったものの、全体としては物語の根底に関係しそうな情報が多かったですね。

マザートリガーとクラウントリガーという近界の星を創るトリガーの存在からは、近界自体を支えるワールドトリガーの存在を強く意識させられますし、トリオンが不要な世界であれば「神」という犠牲もまた不要であるというのも、今後の近界の未来を左右する大きな要素となる気がします。

神となる人物と一体化することで強大なトリオンを出力するのがマザートリガーですから、一体化することなく強力なトリオンを出力させることができれば、という研究なども玄界では始まっていそうです。
近界の常識に囚われない玄界ならではの発想やアプローチという構図も面白いですね。
城戸司令の「真の目的」もこういうところにあるのかなぁとも思ったり。

そもそもがマザートリガーをより強く使うためにトリオン能力が高い人間が必要とされ、その獲得のために紛争や侵略が起き、近界との友好を望んだ旧ボーダーもそれに巻き込まれて多くの仲間の命が失われてしまっていますから、現状の専守防衛や近界の徹底排除では根本的な解決にはなり得ません。
トリオン能力者争奪のための戦争や犠牲が起こらない世界を目指すのが城戸の目的だとすると、玄界の在り方というのは可能性のひとつとして十分考えられそうです。
迅は遊真の入隊時に修や遊真たちが城戸の「真の目的」にも役に立つと言っていましたから、ブラフでなければ近界と玄界の関係に大きな役割を果たす未来があるのかもしれません。

さて、クラウントリガーの一例として挙げられたツチガミ。

「ツチガミ?」
「おれが長く住んでた国ではそう呼んでた」

第202話:修のセリフより

遊真はおそらく5歳ごろから有吾と旅を始め、15歳で三門市にやって来ました。
11歳のときに有吾がカルワリアで亡くなりますが、その後の約3年間を遊真はカルワリアで過ごしています。
カルワリアでは有吾もそれなりの期間を過ごしているため、おそらくカルワリアは遊真にとって最も長く滞在した近界の国だったものと思われます。
現時点の情報では、ツチガミはカルワリアのクラウントリガーの可能性が高そうですね。

「だからたぶん遊真たちと一緒には遠征に行けない」

第202話:迅のセリフより

この直前のシーンでは、ガロプラの通信トリガーを修に渡して、「これは遠征に持っていくよ (中略) ……というわけでメガネくんに渡しておこう」という発言が迅からあったのですが、個人的にちょっと引っかかりました。

話の流れ的には、上記のセリフは「メガネくんたちと一緒には遠征に行けない」が自然だと思います。
これは遠征に持っていくよ→修に渡す→迅さんが持つんじゃないんですか?→未来的に留守番になりそう遊真たちと一緒に行けない
修のセリフに対する回答で、なぜか「遊真たち」と言ってるんですよね~。
遊真の問いに対しての回答であればわかるのですが、修の問いに対してのセリフなので違和感がありました。

遊真の選抜入り&遠征行きは迅のサイドエフェクト的にはほぼ確実な未来なのでしょうか。

「迅さんには オサムが合格する未来が見えてるとか?」
「う――――――ん 現時点では 五分五分」

第202話:遊真と迅のセリフより

素直にとれば五分五分の修なので、「修たちと一緒に遠征に行けない」とは言えなかったともとれますし、穿った見方をすれば、遊真と千佳だけが遠征に行き、残された修に対して約束どおり迅が助ける展開があり得るともとれます。
どっちなんだろう?

そもそも千佳はともかく、遊真とヒュースは修がいないと遠征に付いていかなさそうでもありますし。
う――――ん、わからん。

オルカーン・マーダック

ガロプラがキテレツネタなのは有名ですが、まさかここにも伏線があったとは…。

  • ガトリン→トンガリ
  • コスケロ→コロ助
  • ウェン・ソー→勉三さん
  • ラタリコフ→ブタゴリラ
  • レギンデッツ→キテレツ
  • ヨミ→みよちゃん
  • ラタリコフの本名:オルカーン・マーダック→ブラゴリラの本名:熊田薫

偽名と綽名の違いこそあれ、それぞれ本名設定までリンクしていたとは予想できていませんでした。
…となると、レギーも偽名で、キテレツの本名の木手英一のアナグラムが、レギーの本名という可能性も?

遊真のセリフも、ラタの名前のみウソだったという受け取り方以外に、ラタとレギーの名前のトータルでウソだったという意味にもとれますし、レギーの今後にも期待ですね。

そして迅が持参し、ガロプラ側に渡した2つの紙袋。
あの中身も今後、忘れた頃に明らかにされるのでしょう。
玉狛支部とガロプラ遠征部隊間ので同盟締結ですから、あくまで玉狛支部として提供したナニカということになります。
ボーダー側の(実は本部公認で)提供できるレベルの内部情報とか?
あるいは玉狛支部が握っている独自のトリガー技術の試作品とか?
はたまたただのぼんち揚げ詰め合わせか?

これも種明かしが楽しみですね。

第203話以降の展開予想

冒頭でも触れましたが、幕間は今話までとなるでしょう。
遊真のセリフにもありましたが、ようやく次回より選抜試験編に突入となるのではないでしょうか。

「さあこれで次は今度こそ 遠征選抜試験だな!」

第202話:遊真のセリフより

3話前と同じセリフになりましたが、改めて仕切り直しといったところでしょう。

「これで次はいよいよ 遠征選抜試験だな」

第199話:遊真のセリフより

作中では迅の「会っておいてほしい」から1日しか経っていないものの、我々読者からすると199話が掲載された9月号から3か月待っての来月の選抜試験編予定ですから、遊真以上に実感のこもった「今度こそ」ですね。

次回は第203話

今のところ休載予定はなし、ジャンプSQ12月号に掲載予定です。
選抜試験編の導入部分になると思いますが、まずは選抜試験の応募要項とか試験内容とか、そういうところから始まりそうです。
A級部隊が本格的に出てくるのはもう少しお預けでしょうか。

ご拝読ありがとうございました。

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