WT SQ2020.10

ワールドトリガーをより深く楽しむための当ブログ。
ジャンプSQ2020年10月号に掲載の第200話と第201話について、感想と考察の記事になります。

陽太郎の出生の秘密

先月は先々月休載だった帳尻合わせで2話掲載かなと思っていましたが、今月も2話掲載、しかも設定的に大きな情報解禁がありました。
さっそく感想を交えつつ見ていきましょう。

先月の感想・考察記事で予想していた迅の「会っておいてほしい人」ですが、のっけから新キャラ登場しましたね。
忍田が連れて来た瑠花ですが、陽太郎の姉とのこと。
ガロプラの方ではなかったか。

忍田瑠花と林藤陽太郎なので実の姉弟ではないのかとも思いきや、クローニンの反応からどうやら近界民っぽい雰囲気。

「瑠花ちゃんと陽太郎の親が 元々うちの知り合いでね 両親とも近界民絡みで亡くなって その遺産を瑠花ちゃんが継いだわけだ」

第200話:林藤のセリフより

いよいよ旧ボーダー時代の関係者話に入る展開なのかと読み進めていくと、瑠花はまさかのミスリード。

「迅さんが『会わせたい人』って 瑠花さんのことだったんですね」
「ん?いや ちがうよ?」」

第200話:修と迅のセリフより

これから会いに行くという迅。
普段着のままトリオン体に換装しておけというので、やはりガロプラと接触しそうな雲行きです。
案の定、次ページはガロプラの遠征艇内のコマで引き。
201話に続きます。

数日前 (修たちが焼き肉を食べに行った日)

第201話:冒頭テロップより

201話は時間を少し遡ったところからスタート。
トリオン体にならないことでボーダーの監視の網をくぐって玄界に潜入するラタとレギー。
潜入というより玄界観光に近い雰囲気です。

これまで玄界に登場した人型近界民は、遊真、クローニン、アフトのみなさん、ガロプラのみなさんといったところですが、玄界の異文化に触れるシーンは最初期の遊真以来で新鮮です。
ヒュースは捕虜扱いのため、どうしても玉狛支部内での交流がメインでしたからね。

「あー なんかうまそうな匂いすんなー 腹ぁへってくるぜ」

第201話:レギーのセリフより

そんな2人を捕捉する陽太郎。
迅と林藤が現れます。
迅がサイドエフェクトで陽太郎とレギーたちが会う未来を見て接触しに来たのでしょうか。

「迅さんとヒュースくんは支部長たちと出かけてる」

第177話:宇佐美のセリフより

これはちょうど修たちが焼肉に行く際の宇佐美のセリフですが、ヒュースの姿だけ見当たらず。
まぁアフトの人間まで接触するとなると話がややこしくなりそうですが、それにしてもヒュースはどこで何をしていたのでしょう?

迅たちの目的はやはりガロプラとの裏取引。
林藤の話ぶりから、迅のサイドエフェクトは隠しつつ交渉するのかと思いながら読み進めていましたが、話は思わぬ展開に。

「…あなた方がどのようにして『母トリガー』を手に入れたのか それをお訊きしたい」

第201話:ラタリコフのセリフより

ボーダー本部基地の地下にマザートリガーがあるとは予想外でした。
近界とは違ってトリオンを必要としない世界ですし人口の多い玄界ですから、てっきりその人口の多さと誰も使っていないトリオンをボーダーが有効利用しているのかと思っていたのですが、実際はマザートリガーのトリオンを使っているという設定のようです。

瑠花と陽太郎がアリステラの忘れ形見ということが判明しましたが、まだ赤子の陽太郎を抱えサーベルを携えた人物はクローニンのように見えます。
彼もまた亡国の遺臣として、王家再興のためにボーダーではチーフエンジニアとして技術協力をしているのかもしれません。

考察

設定にかかわる話が出てくると、色々と考察も捗ります。
例えば瑠花のこのセリフのシーン。

「ボーダーがここまで大きくなったのは ほとんどが 私たちの存在と唐沢の尽力に由るものなのですから」

第200話:瑠花のセリフより

「私たち」に瑠花と陽太郎だけではなく、雷神丸も並んでいます。
実はカピバラではなく近界の生物なのでは?
あるいはカピバラに擬態した自立型トリオン兵とか、下手すりゃ黒トリガーと化した王家関係者の可能性までありそう…。

冗談はさておき、さすがに唐沢まで近界民ということはないと思いますが、瑠花を忍田派に、陽太郎を玉狛支部に預けているのも思惑がありそうです。
城戸派は近界民嫌いの派閥なので押し付けたという可能性も考えられなくはないですが、玄界に母トリガーをもたらした最重要人物ですから、好き嫌いで判断するようなことではないハズ。

「アリステラ王家は混乱の中密かに母トリガーを…… 当時まだ子供だった王女と 生まれたばかりの王子に継承させ 滅びゆく星からこちらの世界へ逃がした」

第201話:林藤のセリフより

この説明からすると、母トリガーの運用には王家の継承者が必要な模様です。
神とはまた別の存在のようですから、母トリガーと一体化した者が神で、それを実際に操る者が継承者という関係になるのでしょうか?

母トリガーを城戸派が、瑠花を忍田派が、陽太郎を玉狛支部派がというように、パワーバランスの安定を謀ってそれぞれの派閥で押さえているとの見方もできそうですが、それで幼い姉弟を(それも唯一残された家族を)を離れ離れにしているとすればかなりダークな大人の事情ということになりそうです。
万が一の事故を考えて、王家断絶のリスク分散のためにそれぞれ違う場所にいるとしても、亡国から5年、第一次近界民侵攻から4年も経ってますしね…。

忍田が明後日迎えに来ると言っていることから、瑠花が長期間ボーダー本部を離れることはできない様子。
これは母トリガーに支障が出るためなのか、忍田派と玉狛支部派が手を組んで城戸派に反旗を翻すのを警戒しての制限なのか。

大人の事情は話半分として、好意的に解釈するとすれば、母トリガーのことがあるので瑠花は本部を離れられない、一方で、本部の主流派は近界民嫌いの城戸派、幼い陽太郎の健やかな成長のために近界民ウェルカムな玉狛に預け、瑠花は穏健派の忍田が身辺警護も兼ねて本部で世話をする、玉狛には技術者という名目で護衛のクローニンを付ける、という配慮なのかもしれませんね。
城戸派としては天羽の黒トリガーと、母トリガーから得られるトリオンを押さえることで実利的に主導権を握ることができればOKという判断でしょうか。

一方、ガロプラの方でも気になる動きが。

「うえっじゃないよ 自分の役目忘れてんの?」

第201話:ウェンのセリフより

レギーの役割についても、何かの伏線となっているようですね。
ラタリコフは誰に対してもですます調のセリフなのかと思いきや、レギーに対してはくだけた会話です。

ガロプラの人間関係を整理すると…

  • ガトリン(35歳・隊長)→全員に対して「である調」
  • コスケロ(28歳・副隊長)→ガトリンに対して「ですます調」、他は基本的に「である調」
  • ウェン(24歳)→全員に対して「である調」
  • ラタリコフ(17歳)→基本的に「ですます調」、レギーには「である調」
  • レギー(17歳)→基本的に「である調」、目上に対して稀に「ですます調」、ラタとヨミには「である調」
  • ヨミ(14歳)→基本的に「ですます調」、レギーに対して「である調」

ウェンとレギーはキャラ的な理由による口調という気がしますが、年齢の近い下の3人はお互いにくだけた口調での会話となるようです。

スポーツ刈りになった経緯には深い事情があるのだがそこを描いて読者が喜ぶのか?という疑問は常につきまとう。元々はレギーと髪型が逆だった

JC15巻:カバー裏のラタリコフの解説より

このラタに同行するレギーに課せられた役目ですから、どうもラタもガロプラの王家関係者とかなのかもしれません。
レギーは髪型を逆にしたという設定からすると、いざというときの替え玉の役割なのかも。

「この運のいいちびっこ兵はどうする?」
「……放っておけ すでに戦意をなくしている」

第135話:レギンデッツの回想内、ランバネインとハイレインのセリフより

アフトのガロプラ襲撃時には既に少年兵だったレギー。
下層市民としての生い立ちがあったり、王侯貴族の替え玉として軽視され扱われるなどした過去が、あの口の悪さに繋がっているのかもしれません。

レギーの好きなもののひとつに挙げられているのが、ガトリンの奥さんの作るシチュー。
ガトリンには8歳の子どもがいるそうですが、レギーもガトリンに拾われて目をかけてもらっているのかもしれませんね。

第202話以降の展開予想

ガロプラでは隊長のガトリン、副隊長のコスケロ、エリートのウェンがいる中で、情報収集を口実に玄界観光を許可してもらったラタ。
玄界に興味があるという点や、母トリガーのことを見抜いて尋ねるあたりからすると、やはりガロプラの王族かその関係者といった素性がありそうにも思います。
アフトに征服されてしまったので元王族という感じなのでしょうか。

話の流れ的にはガロプラがこの取引に乗るかどうか、といった展開になるわけですが、交渉決裂しても互いにデメリットしかないので、取引に応じることになるのでしょう。
まんまとガロプラは一杯食わされることになりそうですが、ガロプラとしても損はしていないので、仮に発覚することがあったとしても大勢に影響は与えなさそう。

ただ、ラタとレギーでは決定権がないでしょうから、一度持ち帰っての判断となるはず。
その回答を受けに、迅が遊真と修をこれから連れて向かう途上、というのが今回のシーンと思われます。

つまり、相手の回答にウソがないかを確認するために遊真が必要と。
修はカモフラージュみたいなものでしょうか?

そういえば、ウソを見抜くといえばHUNTER×HUNTERでもクラピカの能力として登場していましたが、あちらは映像からでも見抜くことができていました。
遊真のサイドエフェクトは直接対峙していないと発動できないのかな?

敢えて顔合わせをさせるからには、迅なりに考えもありそうです。
今後の選抜試験編に関係があるのか、その先の遠征編の伏線なのか。

ちなみに私は、選抜試験で千佳以外が落とされて、遊真と修と迅とヒュースが自力で近界に渡る展開もなくはないと思いながら読んでいるので、もしそのルートだとガロプラとのパイプは非常に重要になってくるのではとも思ってみたり。

ガロプラが接触軌道上にいるのはあと1か月程度。
2か月後の遠征の際に同行できない場合は、国づたいに渡る中でガロプラの手引きで経由していく展開になるのではないでしょうか。

「敵はまだ一月近くは接触軌道上におる 守りきれるかどうかはまだわからんぞ」

第136話:鬼怒田のセリフより

もしラタがガロプラの王家関係者であれば、境遇としては陽太郎に近いものがあるため、意気投合して案外玉狛とは仲良くやっていけそうです。
独自のトリガー技術を持ち少数ながら精強な部隊を有する点も似ていますし、手を組んでアフトに反旗を翻すことがあるかもしれません。
穏健派のエリン家と手を組めばヒュースも共闘できますし、迅にはどんな未来が見えているのか…。

今回は陽太郎の出生が明らかになったことで、以前のセリフやシーンにもなるほどと思わせる部分が多かったです。

「陽太郎 ヒュースがメガネくんの部隊に入ったらうれしいか?」
「そうなったら最高だな ヒュースにはおれがいろいろしこみました」
「……じゃあ ヒュースが自分の国に帰るって言ったら? (中略) おまえはどう思う?」
「……ヒュースがかえりたいっていうなら かえらせてやりたい」

「ヒュースがかえるならわたせって 迅からあずかってた かえるなら ちゃんとかえるっていえ!」
「……悪かった ありがとう」

第134話:陽太郎の回想内の迅と陽太郎のセリフ、および陽太郎とヒュースのセリフより

陽太郎は自分の帰る国がもうなくなってしまったことを理解していて、帰る場所のあるヒュースには帰れるようなら帰らせてあげたいと思っていたんですね。
ただの態度の大きいお子様ではなくて、実際のガチな王子様だったわけですけれども、優しく思いやりのある子に育っているということなのでしょう。

「ゆりちゃん ゆりちゃん おれのおヨメさんこうほ」
「あら~ 私をお嫁さんにしてくれるんじゃなかったの?」
「ゆりちゃんがひとりめ ちかちゃんがふたりめ」

第161話:陽太郎と林藤ゆりのセリフより

この会話も、王家の血筋を存続させるためという大いなる宿命を背負った行動であったとは…!

次回は第202話

今のところ休載予定はなし、ジャンプSQ11月号に掲載予定です。
ボーダーが手に入れたマザートリガー、その元となったアリステラの滅亡と大きな動きの出てきた2話でしたので、次回も新たな情報が開示されそうです。

ご拝読ありがとうございました。

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