WT Art_Replica1

Work of Art

前回の遊真に続いてワールドトリガーのキャラクター考察です。
今回はLaikaの方からリクエストを出して、レプリカ先生を描いてもらいました。

レプリカ

有吾によって造られた多目的型の自律トリオン兵、レプリカ。
普段は遊真の黒トリガーから供給されるトリオンで稼働しているものの、特にこの黒トリガーからでなければならないわけではないとのことです。
有吾の生前は一緒に3人で近界を旅していたから当然といえば当然か。

遊真からは「相棒」と紹介されるレプリカですが、本人(本機?)の自称では「ユーマのお目付け役」。
亡き有吾に代わり、遊真を見守りときに導く姿勢は、確かにお目付け役のようではありますが、あくまで「それを決めるのは私ではない ユーマ自身だ」と本人が自身の意思で決定を下すよう徹底しています。
トリオン兵なのでそのようにプログラムされているだけという見方もできるものの、修に遊真に生きる目的を与えてほしいと発言するなど、レプリカ自身に意思や自我のようなものが見られることもありました。

レプリカの「意思」

レプリカについては作中で「自律トリオン兵」と言及されているため、現実世界における自律型ロボットに近い存在という設定でしょう。
身近な例ではルンバなどのお掃除ロボットが自律型ロボットの代表格だそうですが、搭載されたセンサー類で周囲や自己の状況を判断し、予めインプットされたプログラムどおりに行動するという程度であれば自律性を有していると言って良いようですから、必ずしもハイレベルの人工知能を搭載していることが要件というわけではなさそうです。

とはいえ、昨今の自律型ロボットには学習機能を備えた人工知能が搭載されるなど、機器そのものの性能の進化も相まって、選択の最適化や予測を伴う判断を行うなどより高度な自律性を見せるようになってきています。
レプリカもそちらの意味で「自律トリオン兵」とされているのでしょう。

近界のトリオン兵を見てみると、タイプによって自律性の有無、強度に違いがあることが窺えます。

  • バムスター:捕獲用トリオン兵
  • モールモッド:戦闘用トリオン兵
  • バンダー:砲撃用トリオン兵
  • イルガー:爆撃用トリオン兵
  • ラッド:偵察用トリオン兵
  • ラービット:捕獲用トリオン兵
  • アイドラ:集団戦闘用トリオン兵
  • ドグ:集団戦闘用トリオン兵

バムスター~ラッドのあたりは行動パターンもそれほど複雑ではなく、自律性も低いトリオン兵という印象です。
ラービットあたりになると学習機能も有している様子。
千佳の狙撃を防御ではなく回避したり、風間隊の連携にも対応できるなど、高度な自律性を有していました。
ロドクルーンのアイドラも、戦況に応じてトリオン兵同士が自律的に連携を行うなど、方向性は違えどこちらも通常のトリオン兵とは一線を画したプログラムを組み込まれているようです。

それらのトリオン兵と比較してみてもレプリカは極めて特異な存在です。
コミュニケーションが可能、膨大な情報の記憶・蓄積が可能なうえ、近界に存在しない玄界独自の技術にまで対応できる解析能力に加え、解析情報を元にした複製機能を有し、子機を生み出しそれぞれを独自に活動させる高い処理能力や、本体を真っ二つにされても機能停止しない堅牢性まで有するという、近界テクノロジーの中でもずば抜けた性能を誇っています。
今のところ元となったトロポイの技術力が凄いのか、造った有吾が凄いのかは判明していませんが、歴戦のヴィザをして「これは珍しい」とされるほどですから、近界でもかなり限定的な技術と思われます。
そんな重要機密の技術を流浪の有吾が入手できたというのも不思議ですが、既にトロポイは滅びており、自律トリオン兵の技術自体、失われたオーバーテクノロジーとなっているというような設定でもあるのでしょうか。
そうすると、有吾は偶々その遺物を手に入れて、それを元にレプリカを造ったのかもしれません。

なお、アニメオリジナルではありますが、レプリカすら凌ぐ性能の自律トリオン兵も登場しています。
この人型自律トリオン兵は既に実戦投入レベルに到達しているという設定でしたが、量産が進み本格的に運用が始まると近界・玄界それぞれに深刻な危機が訪れることになるレベルの活躍を見せていました。
オリジナルとはいえ世界観を壊すような独自設定はしないでしょうから、これも近界的には決してオーバーテクノロジーではないということか?

さて、話を戻しまして、レプリカが時折見せる「意思」のようなもの。
これは学習型AIのように、単にプログラムに沿って回答を返しているものなのでしょうか。
あるいは現代技術がまだ到達していない人工意識を実現したものなのでしょうか?

基本的には相手の決定権を侵害することはせず、判断を委ねることがほとんどのレプリカですが、例外と思われるセリフも確認できます。

  • 私もオサムに賛成だ
  • オサムにはやってもらうことがある
  • 私の目的はそうだった
  • ユーマに「目的」を与えてやってほしい
  • 私自身まだボーダー本部を信用していない
  • 今のうちに離れろ
  • オサム 一つ提案がある
  • ユーマを頼む

これらも、それまでに学習した情報から適切な選択肢を提示しているに過ぎず、それが「意思」のように見えているに過ぎないと言えなくもないのですが、「私の目的」や「信用していない」という表現に対してはやや苦しいような気がします。
学習と蓄積を長年繰り返してきたことで人工知能にあたる部分がアップデートし続け、遂に人間の知性や知能と同じレベルかそれを超える水準(技術的特異点)に達し、既に人工意識と呼べるものを獲得していると考えることもできそうです。

一方で、レプリカはあくまで現実とは異なる近界の技術で造られています。
エネドラッドもレプリカに近い存在かもしれないとされる描写もありました。
エネドラの場合、生体情報を収集する機能を持つトリガーホーンが脳と一部同化することで、人格や記憶が保存されていたものと推測されています。
エネドラッドとエネドラを、同じ意識や精神を有する同一人物と考えて良いのかはまだわかりませんが、レプリカにも同様の特性がないとは言い切れません。

例えば有吾の手によって遊真の母の人格が保存されているとか、黒トリガーと接続し続けてきたことで、黒トリガーの中の有吾を構成していた要素と接触し次第に有吾の記憶や人格が復元されつつある状態かもしれない、といった考え方も可能なのではないでしょうか。
アニメ版では有吾もレプリカも同じ声優さんが担当されてますし、ここにも何か意図が隠されているのかもしれません。

レプリカの今後について(近い未来)

レプリカ本体は大規模侵攻編で近界に連れて行かれてしまいましたので、第80話以降は登場していません。
論功行賞で遊真と共に特休戦功を受けたり、B級ランク戦編のROUND3の村上対策で回想で登場したり、修が迅を勧誘する理由として描かれたり、出番はないのに第2回人気投票で28位に入っていたりはしているものの、かれこれ約7年近く行方不明状態にが続いています。

当面は選抜試験編など遠征の準備になるため、近いうちにレプリカが登場するのは難しいでしょう。

レプリカの今後について(少し先の未来)

レプリカ再登場で最も可能性が高いのは、遠征編でアフトクラトルに到着してからでしょう。
さすがにアフトの遠征艇の帰途、近界の闇の海にポイ捨てされてどこかの星に漂着して、という展開はないでしょうから、アフトクラトルで遊真や修と再会することになるのではないかと思います。

選抜試験編後も、遠征準備編や遠征編(往路)という展開が予想されるため、アフトクラトルへの到着は相当先のことになりそうです。
残念ながら再登場はここでも難しいでしょう。
可能性があるとすれば、遠征の準備や往路と並行してアフトクラトルの様子を描く展開になった場合に、レプリカの消息について判明することがあるかもしれません。

レプリカの今後について(かなり先の未来)

かなり先になりそうではありますが、アフトクラトルでレプリカが再登場した場合、様々な展開が予想できます。

①すんなり再会するパターン

アフトクラトルに到着し、現地での偵察や情報収集中に消息が判明したり所在が掴めて、割とトラブルもなく再会するパターンです。
再会までに紆余曲折や障害がそれほどないため盛り上がりに欠ける可能性があるものの、アフトの内情を探り攫われたC級隊員たちの情報を得るという流れをテンポよく進めるためのキーマンとしてレプリカがその役目を担うことがあるかもしれません。

まあ普通に考えると、ヒュースが中心となってアフトの現況を情報収集していく流れになると思いますが…。
ただ、アフトは7年以上前の時点で黒トリガーを13本も有する近界でも最大級の軍事国家です。
大規模侵攻編では4本の黒トリガーを撃退しましたが、次は攻守が逆転し地の利が相手にあるうえ、迅が不参加となれば予知もない。
そんな中で3倍以上の黒トリガーを相手にするとなると、ボーダーの全戦力でも勝つことは難しいでしょうから、人員が限られる遠征部隊では絶望的な戦力差です。

敵地なので今度はアフトクラトルの一般人を人質にしたり市街地を盾にするという手もなくはないのでしょうが、ワートリでそんなダークヒーロー的があり得るのでしょうか?
それよりは、ヒュースのエリン家などアフトの切り崩しを図ったり、カメレオンによる隠密行動が主流となる可能性が高く、隊を率いる忍田本部長の性格からも、戦闘はなるべく避けて隊員の救出・奪還に絞った作戦が進められるものと思います。
もちろん避けられない戦闘が見せ場となるわけですが、情報戦の占める割合が大きくなるのは必然ですから、その役割をレプリカが果たすというのも決してあり得ない展開ではないでしょう。

②人質救出パターン

今度は①と違い、救出そのものがメインのひとつとして描かれるパターンです。
大規模侵攻編では遊真・レプリカ共にヴィザとの因縁が生まれましたから、今度は再戦を望むヴィザがレプリカを使って遊真の行動を制限する手を打ってくる展開が考えられます。

前回は遊真とレプリカで辛勝したヴィザですが、再戦があるとすれば次は新たな「相棒」の修が遊真と組んでヴィザからの勝利を目指すという対比を期待できます。
ヴィザについてはヒュースの剣の師匠という要素もあるため、そちらも絡ませるのであれば玉狛第2vsヴィザというシチュエーションで、ノーマルトリガーが努力と友情で作中最強格の黒トリガーに勝利するという流れでも熱いものがありますね。

強敵撃破のご褒美的なシチュエーションでレプリカとの再会を果たすという形であれば、割と実現可能性としては高い方かなという気がします。

③寝返り敵対パターン

こちらも王道といえば王道な展開。
アフトクラトルの技術班によって解析され情報を取り出されたレプリカが、データをリセットまたは上書きされ、敵として遊真たちと敵対するパターンになります。

レプリカ単体ではそれほど高い戦闘能力は有さないため、黒トリガーや角つきの補助として参戦する形でしょうか。
こちらも玉狛第2としてチーム戦で撃破して奪還するという流れに持っていくことができるでしょう。
或いは、再会できたと喜んでいたもののアフトによってスパイプログラムが仕込まれており、秘密裏にボーダーの遠征部隊を搦め手から窮地に陥れるような役回りも可能かもしれません。

この場合は、レプリカの子機からフォーマットされる前の状態を復元するなどして本当の再会を果たすことになるのでしょうか。

レプリカもエネドラッドのようにトリオンを供給されなければ起動できませんから、もし稼働していれば一定の距離に近づくことで子機が再起動するかもしれません。
敵となってしまった本体からの子機への干渉を技術的に阻害するというエンジニア系の戦いを栞たちオペレーターを軸に描いたり、遊真たちが子機と共にレプリカ本体の奪還を目指すストーリーでも面白くなりそうです。

④アフトクラトルにいないパターン

アフトクラトルまで行ったのに見当たらないという謎の展開も、可能性だけで言えばゼロではありません。
そもそもアフトに行ってしまったのはレプリカの左半分。
ミラに切り落とされた右側のその後は描写されていません。
機器としてはかなり深刻な損傷ですし、アフトの技術では修理や再起動ができないとか、停止したときにシステムロックがかかり解除ができないため、トロポイまたは似たような技術力の高い属国に回されて修復や解析に回されているという場合であれば、このパターンになることも考えられなくはありません。

アフトまでの道中でそのような境遇のレプリカと再会してからアフトに向かうという形か、アフト遠征編では再会できずに新章突入のための動機づけとされる形でなければ、なかなか可能性の低い未来と言えそうです。

【雑記】レプリカ×Laika

私Laikaがワールドトリガーという作品に出会ったのは結構遅くて、2014年の秋ごろです。
連載開始からちょうど1年くらいの時期になりますね。
当時のジャンプはワンピとハンタだけかろうじてうっすら追っていたくらいだったのですが、ワートリをスルーとは勿体ないことをしていたものです。

その頃はアニメ第1期が放送されており、偶々それを目にしたのがワールドトリガーとの出会いです。
「随分設定がしっかりしていそうな作品だなぁ」というのが第一印象で、その解説役ポジションだったレプリカは電子音声ぽいエフェクトに反して妙に落ち着いた渋い声色で、それが凄く耳に残ったことを印象深く覚えています。

調べてみるとジャンプ本誌で連載中とのこと。
アニメ第1期は三輪隊が出てくるあたりでしたが、WJ本誌では大規模侵攻編のあたりだったようです。
JCは8巻まで出ており、一気読みして本誌に追いついてからはWJの連載を追いかけていました。

以降は武富よろしく1人でこっそりとWJ本誌での掲載を楽しんでいたのですが、約2年の長期休載を経て再開しSQに移籍された2019年に私の「相棒」に勧めてみました。
Laika的には初のワートリ普及(布教?)活動です。
相棒さんは完結してから一気読みしたい派ですし、絵柄的に好みの合う・合わないがハッキリしているのも知っていたのでそれまで勧めるのを遠慮していたのですが、さすがに完結まで待つのもいつになるかわかりませんし、やや強引に読ませてみたところ、思いのほかどハマリしてしまわれて、私としては結構意外な反応でした。

当初は電子書籍だったこともあり文字が多く似たような顔ばかりで苦労しながら読んでいる様子でしたが、それでも「遅効性SF」のとおりジワジワと嵌っていったようです。

ただ、てっきり本誌の方ではレプリカ先生とも再会を果たしたくらいに話が進んでいるものと思いながら読み進めていたそうなので、当時はまだB級ランク戦編の真っ最中で、レプリカ先生の安否が不明だと知って結構ショックを受けたのだとか…。
知らぬうちに申し訳ないことをしました。
まあ完結まで待ってから勧めていたら、ワールドトリガーとの出会いもだいぶ未来になってしまっていたでしょうから、そこは結果的に悪くない時期だったかもしれません。

なんだかアニメ2期の終盤あたりからワートリ商戦すごくなってきてますしね…。
原作派としては、葦原先生になるべく無理をなさらないで完結を目指していただきたいです。

そんな相棒も、今ではやはり紙で読みたいということでコミックスを揃えてかなり読み込んでいる様子。
推しはヒュースだそうです。
そのうち描いてもらえると思います。
私は原作至上主義的なところがあるのですが、あちらは割とアニメやグッズ類にもストライクゾーンが広いため、このところワートリグッズも徐々に充実してきました。
レプリカ先生もかなりお気に入りらしく、レプリカグッズについては真剣に購入を検討している姿をよく見かけます。

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