前回に引き続きトリガーの開発時期の考察ですが、前回はアタッカーのトリガーを見てきましたので今回は弾丸トリガーについて見ていきます。
近距離と中距離のトリガーを押さえたところで、玉狛の独自トリガーまで見ていければと思います。
弾丸トリガーを使用するポジション
弾丸トリガーを使用するのはシューターとガンナー。どちらも中距離での攻撃参加を想定したポジションですが、銃型トリガーを使用するのがガンナー、トリオンキューブからそのまま撃つのがシューターです。
なお、スナイパーはライフル型のトリガーでトリオンを撃ち出すポジションのため、弾丸トリガーは使用しません。
Q「射手は銃手から派生したんですか?誰によって、どうして射手と言うポジションができたんですか?」
BBF質問箱DX:Q156より
A「順番としては射手が先です。キューブの弾丸を扱うことには向き・不向きがあり、弾丸を誰でも高い精度で使える様にと銃型トリガーが開発され、銃手へと派生しました。」
現在はミドルレンジで弾丸トリガーを使うポジション全体を広義のガンナーと呼び、そのうち銃型トリガーを使う者を狭義のガンナー、使わない者をシューターと区別しているそうです。
ややこしいので、特に記述のない限り、ここでは全て狭義のガンナーの意味でガンナーという単語を使用します。
銃型トリガーの開発時期
さて、そもそもシューターやガンナーがいつから存在していたのかについて、作中では明らかになっていませんが、若村のセリフからすると少なくとも2年前にはガンナーのポジションが存在していた様子。
従って、シューターはそれよりさらに前から存在していたことになります。
「おまえがたった半年で上がったマスター級に 2年かけて腕磨いて 犬飼先輩に射撃習ってもとどかねえのがオレの実力だよ!!」
第137話:若村のセリフより
このセリフの時点ではT.C.2016.2月ですから、T.C.2014.2月前後から若村はガンナーとして訓練してきたものと考えて良いでしょう。若村の入隊はT.C.2013.5月と推定していますので、入隊からガンナーの訓練を始めるまでに8か月ほどの期間があります。
入隊当初は別のトリガーを使っていて後に銃手に転向したか、そもそも入隊当初はまだ銃型トリガーそのものが開発されておらず、入隊後に開発・配備されて転向したのかもしれません。
入隊時期が判明しているシューター・ガンナーをまとめると下表のようになります。(弾丸トリガーを使用するオールラウンダーも含みます。)
T.C.2011 | 嵐山・柿崎・三輪 |
T.C.2012 | 二宮・加古・諏訪 時枝・堤 出水・烏丸・北添 |
T.C.2013.5月 | 犬飼・穂刈・香取・若村 |
T.C.2013.9月 | 歌川・照屋・巴 |
T.C.2014.1月 | 那須 |
T.C.2014.5月 | 来馬 |
T.C.2014.9月 | 木虎・唯我 |
T.C.2015.5月 | 茶野・藤沢 |
T.C.2015.9月 | 修 |
二宮や加古はシューターとして当時から無双していそうですから、諏訪や堤あたりがエンジニアに掛け合って銃型トリガーを開発していそうな気がします。
BBFのデータによると、正隊員が使用する銃型トリガーの割合は、アサルトライフル>ハンドガン>ショットガン≒グレネードガン>ガトリング砲という分布のため、おそらく最初に開発されたのがアサルトライフルかハンドガンタイプでしょう。
ショットガンは諏訪と堤のみ、グレネードガンは北添とB級早川隊の丸井の同じく2名、ガトリング砲はレイジのみセットしていることが確認できます。
「うちに入ればA級の特典で 開発室に頼んでトリガーを自分好みに改造できるわ」
第123話:加古のセリフより
現ボーダーでは最古参の諏訪やそれに続く堤、元A級のゾエがエンジニアにそれぞれ特注でカスタムさせたのがショットガンやグレネードガンだったのではないでしょうか。
「そもそも弓場さんの戦法は 旋空持ちの攻撃手に有利を取るために 諏訪さんのWショットガンを参考にして 編み出されたものなんだよね」
第191話:王子のセリフより
…となると、案外T.C.2012あたりの比較的早い時期に銃型トリガーは開発されていたのかもしれません。
弾丸トリガー
シューターとガンナーが扱う全4種の弾丸トリガーのうち、ハウンドとバイパーはクローニンによる開発、メテオラが雷蔵による開発であることが判明しています。
アステロイドのみ開発したエンジニアが不明ですが「通常弾」と表記されることからも、おそらく最初に開発(もしくは近界から獲得)された弾丸トリガーと考えて良いでしょう。
旧ボーダー時代はクローニンも孤月を帯刀している描写があるため、銃型トリガーの開発・実装時期は現ボーダーの設立後と思われます。(そもそも東が「最初のスナイパー」と呼ばれているため、スナイパー用のライフル型トリガー自体、東の入隊後=現ボーダー体制下で開発・配備されたものでしょうし、銃型トリガーがライフルトリガーに先行したとも考えられません。)
また、シューターのシンボルともいえるトリオンキューブの描写もないため、弾丸トリガーすら現ボーダーの設立後という可能性もあるでしょう。
ただ、そうすると第一次近界民侵攻に対して、旧ボーダーは弧月一本で迎え撃とうとしていたことになってしまうため、「我々はこの日のためにずっと備えてきた」の説得力がやや弱くなるような気もします。
同盟国での防衛線から近接戦闘以外の武装も開発を進めていたものの、僅か半年という期間では実戦配備まで間に合わなかった感じでしょうか。
クローニンはT.C.2012後半あたりにスコーピオンの開発に取り掛かっていることから、アステロイドから派生してハウンドやバイパーが開発されたのはおそらくその前のT.C.2012前半?、となると、アステロイドの開発がT.C.2011後半(つまり本部基地の完成前後)といったあたりかもしれません。
【こんな流れ?】 アステロイド開発 ↓ シューターに適性のない隊員向けに銃型トリガー開発 ガンナーが派生する ↓ ハウンド・バイパーが開発され弾丸トリガーのバリエーションが増える (クローニンは次にスコーピオンの開発に着手) ↓ 隊員が増えたことで銃型トリガーもカスタムやマイナーチェンジが行われる (これらの弾丸トリガーの強化にムカついて雷蔵がエンジニアに転向する) ↓ メテオラが開発され、現行の弾丸トリガーが出揃う (おそらくレイガストとスラスターの開発が先) |
ちょうどT.C.2012初期に二宮や加古が入隊してきているため、アステロイドに適応できたことでそのままシューターとなり、キューブの扱いに不向きだった諏訪や堤らのために銃型トリガーが開発、さらにクローニンによって様々なタイプの弾丸トリガー(ハウンド・バイパー)が次々に開発されていったのではないでしょうか。
このハウンドやバイパーの実装や、銃型トリガーの開発が、雷蔵がエンジニアに転向するきっかけとなった「弾丸トリガーの強化と流行」にあたると考えると、色々と辻褄が合うような気がします。
玉狛第1専用の試作トリガー
玉狛第1の隊員がセットする、本部とは異なる規格のトリガー。
これもおそらくクローニンによる開発と考えられますので、ここで見ておくことにしましょう。
「玉狛のトリガーは使用者の特性に合わせた一点もの 本部未承認の近界民技術を使った実験作だ 林藤支部長が個人的に近界から持ち帰ったトリガーを 技術者が解析して玉狛独自の技術を構築しているらしい」
第55話:レプリカのセリフより
Q「ボーダーのトリガーの名前は誰が考えているのですか?」
BBF質問箱DX:Q157より
A「ボーダーのトリガーは五人のチーフエンジニアが開発の指揮をとっており、それぞれが自分の班が開発したトリガーに名前をつけています。」
チーフエンジニアとして既に本編での登場が確認されるのはJC22巻時点でクローニンと雷蔵の2人ですから、他に3人のチーフがいることになります。
さすがに玉狛に2人以上いるのはバランス的に不自然でしょうから、クローニンを除く4人は本部所属と考えるのが自然でしょう。
「玉狛ならあり得るだろう 元々玉狛の技術者は近界民だ」
第24話:風間のセリフより
玉狛の技術者「たち」は近界民だ、とはなっていませんので、断定はできないものの素直に玉狛にいる近界民技術者は1人だけと受け取っても良いのではないでしょうか。
さて、ハウンド、バイパー、スコーピオンを開発したクローニンですが、玉狛第1のトリガーの開発時期はいつ頃なのでしょうか?
ヒントとなりそうなのが、小南の経歴です。
小南は中学時代までは習い事を優先していたので個人ランク戦は行っておらず、中学卒業間近~高校1年途中までの間だけ参戦してました。
JC20巻:質問コーナー⑮より
その頃は、迅が黒トリガー使いになって、太刀川が微妙にやる気を失っていた時期で、小南は風間さんらと鎬を削って攻撃手ランク1位に到達。その後、玉狛の独立にともなってランク戦を離れましたが、太刀川と風間さん以外にはまだ個人ポイントを抜かれていないので、現在も攻撃手3位に位置しています。
当時のトリガーは、孤月(短め)二刀流でした。
留年や浪人はさすがに考慮しなくて良いと思います。小南の中学卒業はT.C.2013.3月、高校1年の途中とはT.C.2013を指すと考えて良いでしょう。
風刃の争奪戦がT.C.2012.11月前後と推定されるため、当時1位2位の太刀川と迅のポイントを、T.C.2013.3月頃に参戦して風間さんごと一気に追い抜いたということですね。
さすがにそこそこの期間は必要でしょうから、1位到達と玉狛独立は早くてもT.C.2013の後半~T.C.2014初頭と考えた方が良さそうです。
…となると、T.C.2013あるいは玉狛独立の頃からは、クローニンは玉狛第1の規格外トリガーの開発に専念していそうな気がします。
ちょうどスコーピオンを開発した後に玉狛支部が独立し、その専属エンジニアになったという感じでしょうか。
【全武装(フルアームズ)】 レイジがサブにセットするトリガー。 第131話の対ガロプラ防衛戦の終盤、右腕でガトリング型、左腕でアサルトライフル型の機銃型トリガーを持ち、右肩に小型のミサイルポッド、左肩にバズーカ型のトリガーを装備、さらに後背部から伸びる2本のマニピュレータがそれぞれシールドモードのレイガストを展開する形で初披露されました。 |
レイジはボーダー唯一のパーフェクトオールラウンダーですが、通常の8チップのトリガーではその能力を完全に活かしきれないとして、7*2=14チップの特注トリガーホルダーを使っています。
(メイントリガー) | (サブトリガー) |
レイガスト | レイガスト |
スラスター | スラスター |
シールド | シールド |
メテオラ | アステロイド突撃銃 |
アステロイド機関砲 | ハウンド突撃銃 |
バッグワーム | スパイダー |
(空き) | フルアームズ(試作) |
このトリガー構成とフルアームズの仕様を見る限り、フルアームズとは武装そのものではなく、これを使用することでセットしている全てのトリガーを一度に全て展開できるというトリガーのようです。
銃型トリガーの形状およびその射出する弾丸トリガーの描写から、右手がアステロイド機関砲、左手がアステロイド突撃銃、右肩がハウンド突撃銃のようですので、残る左肩はメテオラと思われます。
レイガスト2枚による防御力は高そうですが、消費トリオンが大きいため持久戦には不向きとされており、あくまで全トリオンを使い切るまでにベイルアウトしてしまわないように、といったコンセプトで運用されているようです。
そのためヴィザ戦では時間稼ぎ狙いの持久戦のため出番はなく、作中で初登場となったガロプラ戦でも投入されたのは最終盤で、作中では射撃戦の瞬間火力を大幅に引き上げてトリオン兵を殲滅していました。
「持久戦狙いだったんだから仕方ないでしょー」
第63話:宇佐美と陽太郎のセリフより
「全武装つかえば…… 全武装つかえば…… レイジが負けるわけない……!」
パーフェクトオールラウンダーのレイジのポテンシャル全てに対応するためのトリガーというコンセプトから、当然、全ての距離に対する戦闘手段が想定されているものと思われます。
ミドルレンジ・ロングレンジでの戦闘と異なり、クロスレンジでは2本のレイガストがメイン武装となるのかもしれません。
スラスターで強化したパンチによるインファイトでの殴り合いだけではプロボクサー級の回避技術がなければすぐベイルアウトしてしまいそうですから、2本のスラスターを使っての空中戦とか、修が風間戦で見せたような、シールドチャージからの近接射撃といったバリエーションがありそうな気がします。
少し話が脱線してしまいましたが、玉狛のエンジニアであること、本部未承認の近界技術が使われているということから、フルアームズもクローニンによる開発と考えてよいのではないでしょうか。
すぐに徹夜する仕事中毒者で、仕事が終わったらゲームで徹夜。国近や藤沢とオンラインで遊んでいる。小南や陽太郎とゲームする時は程々に負ける大人な男。
JC20巻:カバー裏のクローニンの解説より
これはゲームで得た玄界の重火器の情報を開発に反映しているという設定なのでは…?放っておくと、日本かぶれした外国人のようなノリで、トリガーを魔改造し始めそうな気も…。
某巨大ロボットとか、某可変戦闘機とか見始めたら、遠征艇がとんでもないことになったり?未来は無限に広がっている。
【双月】 小南がメイン・サブの両方にセットしているトリガー。 小型の手斧タイプの形状をしており、かつての小南の孤月(短め)二刀流というスタイルに合わせて開発されたトリガーと思われます。 【接続器(コネクター)】 双月専用のオプショントリガー。 2本の双月を連結することで、双月(斧)という等身大サイズの大斧に変化、レプリカによると一撃の威力を大幅に高める火力重視のコンセプトとされ、トリオン効率を度外視した短期決戦のトリガーであるといいます。 |
旧ボーダー時代からのメンバーとしては、林藤支部長に次ぐ古株の小南。
続いて迅→レイジの順に旧ボーダーに参加しているため、小南よりレイジの方が後輩になるのですが、レイジもスナイパーとしては東に師事していたということですから、本部にいた時期があったと考えられます。
玉狛の独立に伴いレイジも小南と共に本部から転属したとすると、双月と全武装は同時期に開発が進められたのかもしれません。
「たしかに玉狛はボーダーの中では異端だ コナミの動きはむしろ…… 近界民の戦い方に近い」
第55話:レプリカのセリフより
近界民に近いということですので、コネクターの技術自体、近界民のトリガー技術に近いのかもしれません。
そう考えると、クローニンは先に技術的に慣れた双月・接続器から開発し、そこで得られた複数のトリガーを同時接続するノウハウを全武装の開発に流用したのかもしれません。
【ガイスト】 烏丸がサブにセットしており、トリオン体の安定性を敢えて崩し、任意の性能に集中させ特化することを可能とするトリガー。 起動すると甲・斬・特・速・射のパラメータが右手甲に表示され、戦況に応じたモードに特化(シフト)させて使用するトリガーです。 技術的な限界により不安定化したトリオンが漏出してしまうため、起動者の残トリオン量に応じて活動時間に制限が生じるというデメリットも抱えており、ベイルアウト待ちの持久戦に持ち込まれると大きく不利となってしまいます。 |
作中では第74話で初登場し、斬と速に特化した白兵戦特化(ブレードシフト)でラービットを一撃で撃破、ハイレインと対峙しました。
斬で武器(孤月)に、速で足にトリオンを集中させるモードのようです。
途中で機動戦特化(スピードシフト)に切り替え、速のみ特化したモードも使用していました。
ハイレインからはアフトクラトルのトリガー技術に発想が似ていると評されているため、こちらも近界出身のクローニンならではのトリガーと言えるのかもしれません。
アフトクラトルはトリガー角による補助で安定性を失うリスクをカバーしているようですから、エネドラの角から得られたトリガー技術の情報・応用次第では、今後、改良や強化が期待できるかも。
(メイントリガー) | (サブトリガー) |
孤月 | エスクード |
アステロイド突撃銃 | ガイスト(試作) |
バイパー突撃銃 | (空き) |
シールド | バッグワーム |
対ガロプラ防衛戦で再登場し、このときは射撃戦特化(ガンナーシフト)で起動。弾丸トリガーの射線の描写から、アステロイドを使用していたようです。
アサルトライフルにしてはかなり大型でシールドつきの銃型トリガーですが、ヴィザ・ヒュースの足止めの際の烏丸は通常のアサルトライフル型トリガーを使用していましたし、白兵戦特化時の孤月に比べると段違いに形状が変化しているので、単にトリオンを流し込んだだけの変化というわけではなさそうです。
フルアームズのように複数のトリガーを同時展開し、甲や特の属性にもトリオンを使うことでこのような銃型トリガーに変形させているのではないでしょうか。
射撃戦特化では描写は少ないものの、白兵戦特化のときと同じように足にもトリオンを注ぎ込んでいるようなので、甲と射と速の特化かもしれません。
甲のみに特化するとエスクードかシールドをメインに特化したモードになりそうですね。
ガイストのコンセプトとは?
フルアームズがパーフェクトオールラウンダーのポテンシャルを余すことなく発揮させるコンセプトであるとするなら、セットしてある全てのトリガーを同時展開し、あらゆる戦況に対応できる単独での万能性を志向したトリガーと言えるでしょう。
逆に双月は瞬間的な最大火力を追求した、純粋に攻撃のみに焦点を当てた一点突破型のトリガーです。
この2つのトリガーに比べると、ガイストのコンセプトは今ひとつはっきりしません。
ガイストは烏丸がオールラウンダーということもあってか、フルアームズほどではないにせよ様々な戦況に柔軟に対応できるトリガーです。しかし、そもそも様々な戦況に対応するのであれば、わざわざ安定性のリスクを背負ったガイストではなく、フルアームズの簡易版で複数のトリガー同時展開で対応すれば良いはず。瞬間的に火力を引き上げるにしても、既にコネクタという技術がある以上、敢えてベイルアウトのデメリットを容認してまで起動しなければならない性能がガイストに込められているとも思えません。
そうすると、単に個人の個性やスタイルを反映して開発されたというより、フルアームズのレイジと双月の小南をチームとして最大限活用するための補助や、不足する部分を埋めることをコンセプトとして開発が進められたのがガイストなのかもしれません。
そして、その能力を十分に引き出すことができる使い手として烏丸が本部から引き抜かれたのではないでしょうか。修や遊真たちからの無茶ぶりにも対応する器用さを特に強調した描写が多い烏丸ですが、単なる万能手(オールラウンダー)をいう域を超えて発揮されているその器用さこそ、ガイストの適性として高く評価されているのかもしれません。
そう考えると、全武装と双月は使用者に合わせてコンセプトを設定し開発されたトリガーであるのに対し、ガイストは既に全武装と双月で確立された技術を投入し、チームとしての運用を補完することを目的に開発されたトリガーで、使いこなせる使用者とチームを支える情報処理能力を必要として鳥丸と宇佐美が転属してくることになったのではないでしょうか。
常に冷静で俯瞰的に状況を把握することができ、仮想空間とはいえ二宮のフルアタックも再現できるほど器用な烏丸ですが、レイジと小南がチームとしてその能力を最大限発揮できるように立ち回ることのできるバランサーとしての能力はむしろ最低限の条件で、使いどころを誤るとただの自滅になってしまうガイストの起動判断を任せられるほど戦況と戦局が見えていることまで要求されたポジションが、ガイストの使用者としての条件なのかもしれません。
トリオン漏出の問題が解決できれば、サポート的に立ち回るオールラウンダーの標準装備にもなれそうな、対応力の高いトリガーと言えるのではないでしょうか。
シューター・ガンナーの個人ポイント
さて、シューターとガンナーに話を戻しましょう。
今のところクローニンの開発スケジュールくらいしか手掛かりのない弾丸トリガーの実装時期ですが、個人ポイントという面からも考察してみようと思います。
個人ポイントは主に個人ランク戦やチームランク戦での増減が多いようですが、他にもスナイパーやC級隊員であれば合同訓練で獲得することができたり、大規模侵攻のような防衛任務、イレギュラー門の際の修のように特殊な戦功をあげたと見なされる場合にも付与されることがあるようです。
その個人ポイントですが、ポジションごとのランキングと、全正隊員による総合ランキングがあります。
作中で判明している順位は以下のとおり。(数値は判明している個人ポイントのうち最高値)
総合 | 攻撃手 | 射手 | 銃手 | 狙撃手 | |
1位 | 太刀川 45961 |
太刀川 45961 |
二宮 | 里見 | 当真 |
2位 | 二宮 | 風間 | 奈良坂 | ||
3位 | 風間 | 小南 | |||
4位 | 当真 | 村上 12042 |
|||
5位 | |||||
6位 | 生駒 11177 |
総合ランキングは、使用するトリガーごとの合算ポイントではなく、最も高いトリガーのポイントで順位が決まるとのこと。
ここで嵐山のセリフを引用。
「射手・銃手は一人で点を獲る必要はない というか 点を獲るのは難しい(中略)少し引いた位置から全体の動きを捉えて 射程攻撃と戦術で局面をコントロールする それが射撃トリガーの特徴を活かした戦い方になる 例えばA級1位の出水なんかも 自分が追い込んで味方に獲らせる戦法がうまい」
第107話:嵐山のセリフより
点を獲りにくいポジションでありながら総合2位に食い込んでいる二宮がどうかしているわけですが、村上が総合ランキング上位に入っていないため、少なくとも12000を超えるポイントであることは間違いありません。
太刀川たちの次となる古参入隊なので、入隊期間のアドバンテージを活かして稼いだポイントか。
ガンナーで個人ポイントが判明している隊員としては、犬飼がアステロイドで8422、ハウンドで7009、巴がハウンドかアステロイドで7009(サブの孤月のポイントが最も高いとガンナーでなくアタッカーと呼ばれるはず)、来馬がハウンドかアステロイドで7881、北添がおそらくメテオラで9728(アステロイドの可能性も0ではない)です。
これらの情報から推測するに、銃手1位の里見は10000ポイントを超えていると見て良いかと思います。
一方、シューターについては個人ポイントが判明しているのが那須と修だけですが、那須がマスター級の8395ポイントですので、A級の出水や加古も二宮ほどではないにせよ高ポイントでしょう。
Q「加古さんはメイントリガーに銃手用のトリガーが入っていませんが、なぜ射手なのですか?」
JC20巻:質問コーナー⑭より
A「ポジションの呼ばれ方は、装備したトリガーの中で一番個人ポイントが高いもの、を基準に決まります(万能手は例外)。加古さんはサブに装備しているハウンド(改)の個人ポイントが一番高く、メインに装備しているスコーピオンがまだ6000点に達していないので、射手です。スコーピオンを6000点以上にして、万能手になりたい模様。ガロプラ戦では、火力戦に備えてメインにもハウンド(改)を装備していたようです。
さすがにアタッカーほどアベレージは高くないようですが、ガンナー上位勢のポイント自体は他のポジションの上位レベルと遜色ない感じですので、ランク戦が始まった頃(T.C.2013.5月と予想しています)には既に銃手用トリガーは存在していたのかもしれません。
もっとも、当初はシューターとしてポイントを稼いでいた隊員が、銃型トリガーの開発によってガンナーに転向、現在の個人ポイントがシューター時期のものとガンナー時期の通算ポイントという可能性もありそうです。
ただ、このあたりは公式で判明しない限り、推測の域は出ないでしょう。
個人ポイントは個別?通算?
個人ポイントの集計方法ですが、通算されるケースはあるのでしょうか?
ガンナーというポジションが派生した時期に繋がるかもしれませんので、少し掘り下げてみます。
【ポイントの通算が生じそうなケース】 ①使用トリガーを変更した場合 ②ポジションを転向した場合 ③トリガーを改造した場合 |
①はポイントが通算することはなさそうです。
例えばアタッカーの場合、孤月からスコーピオンに変えた場合に、それぞれのポイントが通算されることはないでしょう。
同様に、シューターやスナイパーもそれぞれのトリガーごとにポイントが貯まる仕組みだと思われます。
これがガンナーの場合はどうなのでしょうか。
銃型トリガーはこれまでに、アサルトライフル型、ハンドガン型、ショットガン型、グレネードガン型、ガトリング砲型が登場しています。
どのタイプでも、使用する弾丸トリガーはアステロイド・バイパー・ハウンド・メテオラの4種類(合成弾は除く)で共通ですし、犬飼の個人ポイントがアステロイド8422、ハウンド7009のように紹介されていることから、あくまで銃型トリガー別ではなく、弾丸トリガー別で集計されているようです。
…ということは、銃型トリガーを変更しても、弾丸トリガーが変わらなければポイントは通算されると考えて良いでしょう。
アサルトライフル→ハンドガンに変更しても、同じアステロイドを使うのであれば、そのポイントはそのまま引き継がれるものと思われます。
(そもそも銃型トリガー自体、隊員の要望に応じて開発やマイナーチェンジが施されているという設定のため、その都度ポイントがリセットされるとは思えない)
同様に、③についても、トリガー自体が変わるわけではなくカスタムされているだけですので、ポイントの通算については問題ないでしょう。
では、②についてはどうでしょうか。
アタッカーからシューター、ガンナーからスナイパーのような転向の場合、①の使用トリガーの変更も関係してきます。
作中では荒船がアタッカーからスナイパーに転向したことが判明していますが、孤月のポイントはそのまま保持しているため、それぞれ別集計であることは間違いありません。
ただ、シューターとガンナー間での転向の場合はどうでしょう?
銃型トリガーの有無という違いこそありますが、弾丸トリガー自体は共通です。
シューターとしてアステロイドで稼いだポイントは、ガンナーに転向して銃型トリガーでアステロイドを使用する場合でもまた0からになってしまうのでしょうか?
入隊時期 | 攻撃手 | 射手 | 銃手 | 狙撃手 |
T.C.2012 | 太刀川45961 風間14000超 影浦14780 辻8393 |
二宮14000超 | 北添9728 | |
T.C.2013.5 | 米屋9825 荒船8266 三浦7407 |
犬飼8422 | 当真12000超 | |
T.C.2013.9 | 熊谷7119 | 巴7009 | ||
T.C.2014.1 | 奥寺7188 小荒井7280 笹森7452 |
那須8395 | ||
T.C.2014.5 | 来馬7881 | 荒船8349 (転向) |
||
T.C.2014.9 | 村上12042 | |||
T.C.2015.1 | 緑川9985 | |||
T.C.2015.9 | 修4309 | |||
T.C.2016.1 | 遊真5172 |
やはり全体的に入隊時期が早いほど高ポイントの傾向が見られます。
入隊時期と作中で判明している最大ポイントとの相関関係を見てみたいので、影浦は減点による-10,000ポイントを乗せて記載してあります。影浦は減点後に獲得したポイントがあるでしょうから、最大値は14000ポイント程度が上限ではないでしょうか。
小南のポイントがアタッカーでは太刀川と風間以外には抜かれていないということなので、風間と小南、総合2位の二宮、4位の当真は2万超えや3万超えしていてもおかしくありません。
「北添隊員は 援護役が多い銃手というポジションの中で 単独で点を穫れる火力を持っている優秀な重銃手です」
第168話:嵐山のセリフより
北添は銃手の中でもポイントが高いことが伺えるセリフですが、一方で犬飼もアステロイドでマスタークラス、サブのハウンドでも7000点を超えるポイントの保有者です。
アタッカーにもかかわらず、辻が入隊時期の割にポイントがそこまで高くないことから、二宮隊では二宮が仕留め役でごっそり点を獲ってきたのでしょう。
B級ランク戦のROUND4では北添と遊真を、ROUND8では弓場をそれぞれアステロイドで倒しているため、ランキングのことまで考えてアステロイドにポイントを集中させていそうです。
ハウンドやバイパー、ホーネットで相手を動かして、アステロイドやフルアタックでシールドごと割って仕留めるスタイルなのでしょう。
その二宮に点を獲りまくられながら、かつ、メイントリガー7割サブトリガー3割のポイント配分にもかかわらず、犬飼が同期のアタッカーたちと遜色ないポイントを保有していることからすると、仮にガンナーになる前にシューターをしていたと考える場合、そのポイントが通算されていなければ、ここまで届かないでしょう。
途中でガンナーに転向しポイントがリセットされてから、先行する同期のアタッカー陣に匹敵するポイントを改めて獲得したと考えるよりは、転向してもポイント通算されたか、そもそも入隊当時からガンナー一本でやってきたと考える方が正解なのではないでしょうか。
一方で、犬飼より入隊が1年遅い来馬が既にマスタークラスに迫るポイントですので、仮に犬飼にガンナー転向前のシューターのポイントが通算されているとすると、今度は来馬との差がなさすぎることになってしまい不自然です。
以上の理由から、ランク戦が始まった頃にはガンナーというポジションは確立されており、主だった銃型トリガーも配備済みだったと考えた方が素直な気がします。
まとめ
旧ボーダー時代:孤月が開発される ↓ T.C.2011(下半期?):アステロイドが開発される ↓ T.C.2012(上半期?):ハウンド・バイパーが開発される ↓ T.C.2012(下半期?):スコーピオンが開発される ↓ T.C.2013.5:入隊スケジュールが固定化、ランク戦始まる? この頃までには銃型トリガーが開発・配備されていた? ↓ T.C.2013末頃:玉狛支部が独立、クローニンが専属エンジニアに? T.C.2013末~T.C.2014初頭:雷蔵がエンジニアに転向 ↓ T.C.2014(上半期?):レイガストが開発される、シールド性能が強化 T.C.2014(上半期?):フルアームズ・双月・コネクターが開発される ↓ T.C.2014(下半期?):メテオラが開発される ↓ T.C.2014(下半期?):ガイストが開発される T.C.2014.10~11月頃:烏丸と宇佐美が玉狛支部に転属 |
前回とは一転して非常に長い記事となってしまいました。
次回は残りのスナイパーのトリガーについて考察していこうと思います。
ご拝読ありがとうございました。
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