WORLD TRIGGER vol.4

Junction Point

前回に引き続き、BORDER BRIEFING FILE(BBF)掲載のボーダー入隊時期グラフについて考察します。

おさらいがてら、前回の考察を反映させた表を再掲しておきましょう。

【現ボーダー設立時(4年前)】
①根付、鬼怒田、唐沢
②太刀川、冬島、風間、東、雷神丸(*②と③の入隊時期は同じ)
③嵐山、柿崎、三輪、月見、沢村
【3年くらい前】
④二宮、加古、諏訪
⑤時枝、佐鳥、堤
⑥綾辻、出水
⑦加賀美、天羽
⑧烏丸、影浦
⑨宇佐美、三上、辻
⑩国近、小佐野、北添
【2年くらい前】
⑪T.C.2013.5月
米屋、犬飼、当真、荒船、穂刈、香取、三浦、若村、染井、仁礼
⑫T.C.2013.9月
奈良坂、菊地原、歌川、半崎、熊谷、照屋、巴、氷見
⑬T.C.2014.1月
奥寺、小荒井、人見、古寺、笹森、那須、日浦、志岐、武富
【1年くらい前】
⑭T.C.2014.5月 今、来馬
⑮T.C.2014.9月 木虎、唯我、絵馬、村上、別役
⑯T.C.2015.1月 緑川
⑰T.C.2015.5月 黒江、茶野、藤沢
【新入り】
⑱T.C.2015.9月 修
⑲T.C.2016.1月 遊真、千佳、夏目、新3バカ

【2年くらい前】の⑪以降は年3回の入隊時期で考えて良さそうでしたが、【3年くらい前】の隊員はどうもその法則が当てはまらなさそうです。現在の入隊スケジュールが固まったのは⑪の頃からだったのではないでしょうか。

「現ボーダー設立時」とはいつなのか?

第2回の考察でも取り上げましたが、作中では4年半前の第一次近界民侵攻の際、ボーダーの存在が公となってからを「現ボーダー」、それより前を「旧ボーダー」と呼んでいるようです。

「有吾さんは……4年半前にボーダーの存在が公になる以前から活動していた いわば旧ボーダーの創設に関わった人間」

第18話:忍田本部長のセリフより

「今の本部基地ができるまでは 玉狛がボーダーの本部だったの 一般に公開される前のいわゆる「旧ボーダー」の本部ね」

第162話:林藤ゆりのセリフより

BBFの入隊時期グラフでは現ボーダーの設立時を4年前としていますが、作中ではボーダーの存在が公になったのは第一次近界民侵攻の時点、つまり4年半前であるとしています。この半年のズレは一体何を意味しているのでしょうか?

②および③の「現ボーダー設立時」の入隊には三輪がいます。
三輪は姉を第一次近界民侵攻の際に亡くしており、当時は明らかに民間人として描写されています。

「助けて!! 姉さんが……!! 姉さんが死んじゃう!!」

第75話:迅に助けを求める三輪の回想より

姉を亡くした三輪が入隊した頃が現ボーダーの設立時期と同時期というのであれば、第一次近界民侵攻(T.C.2011.5~6月頃)からある程度の期間が経ってからと考えられます。

Q「小南ちゃんと親戚の嵐山さんも彼女と同時期の入隊なんですか?」
A「小南は旧ボーダー時代からの古株、嵐山が入隊したのは今の本部の基地ができてからです」

JC8巻:質問コーナー⑦より

BBFの入隊時期グラフでは嵐山も三輪と同じ時期の入隊とされています。本部基地の完成はT.C.2011年10~12月頃のようですので、おそらくこの頃が②③の隊員の入隊時期になるのではないでしょうか。

本部基地が完成し、それなりの施設を整えて隊員の受け入れ態勢を整えた段階で「設立」、それに合わせて入隊したのが②③の隊員たちという認識で良いのかもしれません。

ここまでの簡易まとめ

T.C.2011.5~6月頃:第一次近界民侵攻

T.C.2011.10~12月頃:ボーダー本部基地完成、②③が入隊

T.C.2012.2月前後:ボーダー広報イベント

「3年くらい前」の入隊時期

年3回(1月・5月・9月)の入隊サイクルになったのがおそらく⑪のT.C.2013.5月入隊組からと考えられますので、それより前の入隊組の時期の特定はなかなか困難です。
実際、BBFでも入隊時期は細かく先後が調整されており、定期的なサイクルではない、逐次の入隊を伺わせるグラフとなっています。

「ボーダーでは常に新しい隊員・職員を募集しております」

第142話:広報イベントでの根付のセリフより

上記の根付のセリフからも、広報イベント当時のT.C.2012.2月前後はまだ定期的な入隊募集はなく、随時受付だったものと思われます。
従って、「3年くらい前」の時期を特定することは難しいのですが、少なくとも初期入隊の②③より後で、⑪より前というのは確実なことから、T.C.2012.1月~T.C.2013.4月の期間に絞ることはできそうです。

東の経歴

ここで切り口を変えて、東隊長に焦点を当ててみましょう。
やたら肩書の多いキャラクターであり、他の隊員たちとの相関関係が割としっかり描写されているため、考察の手掛かりとなります。

ボーダーで最初に狙撃手になった、生粋のロングレンジロン毛。レイジや当真や奈良坂に狙撃を教えたのもこの人。

JC5巻:カバー裏の東の解説より

Q「月見さんと太刀川さんの関係を教えて下さい。」
A「幼なじみで太刀川の戦術面の師匠です。東さん→月見(他、たくさんの弟子)→太刀川、という流れ。」

JC8巻:質問コーナー⑥より

「俺も鳩原も東さんが師匠だからな 妹弟子だ」

第106話:レイジのセリフより

「かつてのA級1位部隊を率いた「最初の狙撃手」東春秋がいる」

第112話:風間の解説より

入隊時からボーダー随一のトリオン能力でぶいぶい言わせていたが、忍田さんの計略で加古さん・三輪と共に東隊に放り込まれ、(以下略)

JC13巻:カバー裏の二宮の解説より

同部隊の片桐・雪丸と共に、第2期東隊で鍛えられた東塾卒業生。

JC20巻:カバー裏の結束の解説より

…とまぁ東を中心に様々なキャラクターが絡んでいますが、要約すると次のような感じでしょうか。

【第1期東隊】
東+二宮+加古+三輪 →これが「かつてのA級1位部隊」?
【第2期東隊】
東+片桐+雪丸+結束 →東を除く3人は現在A級8位の片桐隊メンバー
【第3期東隊】
東+奥寺+小荒井+人見 →小荒井が頼み込んで東を招聘し結成された
狙撃手としての師弟関係
 東→レイジ→千佳
 東→鳩原→絵馬
 東→当真→夏目
 東→奈良坂→古寺
 東→奈良坂→日浦
戦術家としての師弟関係
 東→月見→太刀川
 東→月見→古寺
(月見以外のたくさんの弟子というのは、その多くが現・旧東隊の隊員たちのこと?)

三輪は東と同じく現ボーダー設立時の入隊、二宮と加古がその次の④の入隊組ですから、ボーダーの保有する戦力を整理し本格的に組織的な運用を進めていくにあたって、小隊編成での運用を試すためにとりあえず忍田が組ませてみたのが第1期東隊だったのかもしれません。
トリオン能力の高い二宮と加古はすぐB級に上がったと考えられるため、結成時期は最短でT.C.2012の早い時期と推測されます。近距離の攻撃手に三輪(おそらく結成当初は弧月のみ)、中距離に射手の二宮と加古、長距離に東、明言されてはいませんが、オペレーターが月見(ここで戦術を叩き込まれた?)という構成だったのではないでしょうか。

A級部隊という枠組みができたのが、本部基地ができて隊員がある程度増えてから(中略)総隊員数が3ケタを超えたぐらいからチームランク戦が始まり、当時は昇級試験もあったので、初期のA級隊員は今より面倒だったと思われます。

BBF:質問箱DXのQ237より

チームランク戦の開始(または整備)に合わせてシーズン制が導入され、それに合わせて入隊時期が年3回に整理され固定されたと考えると、ランク戦が始まった(もしくは現在の形に整理された)のはT.C.2013年の初期と予想して良いかもしれません。

現A級1位の太刀川隊の結成は最短でも⑩で国近の入隊後、2位の冬島隊は⑪の当真入隊後、3位の風間隊も⑫で歌川や菊地原が入隊してからの結成でしょう。先に結成されたと考えられる第1期東隊はチームとしての経験期間のアドバンテージもありますし、何より各隊員も極めてポテンシャルの高い人材が揃っていたわけですから、他のチームが東の率いるこの部隊を抜いてA級1位に君臨できたとは思えません。
4位の草壁隊にはNo.1銃手の里見がいますが、射手→銃手と派生してきたということですから、当時いきなり銃手として無双できたわけではないでしょうし、5位の嵐山隊も木虎が加入してからより勝てるようになったとのことですから、いずれもA級1位に相当するとは考えにくいです。
現時点での情報から考えると、「かつてのA級1位部隊」とは第1期東隊以外の部隊を指す可能性は低いのではないでしょうか。

第2期東隊の結成時期は今のところ不明ですが、第1期の結成がT.C.2012頃の可能性が高いこと、第3期の結成が最短でも奥寺たちが入隊後にB級に上がってからとなりT.C.2014.4月頃と考えられることから、第2期はT.C.2013年代の可能性が高そうです。
この第2期東隊が太刀川隊や風間隊をねじ伏せてA級1位となった場合でも「かつてのA級1位部隊を率いた」という表現ができるため、その可能性も否定はできませんが、片桐・雪丸・結束という当時のメンバーを残しつつ、狙撃手の桃園、東と同じくダミービーコンを扱う観測手の尼倉を加えた現在の片桐隊は、戦力としては第2期東隊のときのそれとそう遜色ないでしょう。
東がいた頃に太刀川隊を抑えてA級1位、東が抜けて桃園と尼倉だとA級8位(それも二宮隊と影浦隊の降格も加味しなければならない)というのは落差が大きすぎまるため、この第2期東隊を「かつてのA級1位」と考えるのは難しいのではないかと思います。

また、この第2期が解散して第3期東隊が結成されたのがT.C.2014年頃だとすると、それから2年近く経過した作中の現時点でA級8位という位置になってしまうため、この第2期でA級1位だったと考えるとそのあたりも齟齬が生じることになります。

まとめ

T.C.2011.5~6月頃
 第一次近界民侵攻

T.C.2011.10~12月頃
 本部基地完成、太刀川や東らが入隊

T.C.2012
 ④~⑩が続々と入隊、第1期東隊が結成されチーム単位の運用が始まる
 隊員が増えたことでA級という枠組みができる
 その第1期東隊はA級1位に君臨?

T.C.2013
 ⑪の入隊の頃にチームランク戦のスケジュールが固定化
 ランク戦のシーズン制に合わせて入隊時期が年3回間隔となる

次回は各チームに焦点をあてて、第3回と第4回の考察をさらに深く掘り下げてみます。
ご拝読ありがとうございました。

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