WORLD TRIGGER vol.3

Junction Point

ワールドトリガーの考察記事、第3回です。

今回も前回に引き続き物語開始前の過去編ですが、主要な隊員たちのボーダー入隊時期を考察していきたいと思います。
旧ボーダー時代は改めて別の記事として考察予定のため、今回は現在のボーダー体制下での入隊時期に限定して取り上げます。

ボーダー入隊時期グラフ

オフィシャルデータブックとして刊行された「ワールドトリガーBORDER BRIEFING FILE」(以下、BBFと記載します)の中で、入隊時期についてグラフ形式で公開された資料がありますので、まずはこちらから見てみましょう。

このグラフでは横軸が時間経過になっているため、縦に並んだ隊員が同期入隊と考えて良さそうです。同期と思われる順に、番号を振ってグループ分けしてみましょう。

【現ボーダー設立時(4年前)のグループ】
①根付、鬼怒田、唐沢
②太刀川、冬島、風間、東、雷神丸
③嵐山、柿崎、三輪、月見、沢村
【3年くらい前のグループ】
④二宮、加古、諏訪
⑤時枝、佐鳥、堤
⑥綾辻、出水
⑦加賀美、天羽
⑧烏丸、影浦
⑨宇佐美、三上、辻
⑩国近、小佐野、北添
【2年くらい前のグループ】
⑪米屋、犬飼、当真、荒船、穂刈、香取、三浦、若村、染井、仁礼
⑫奈良坂、菊地原、歌川、半崎、熊谷、照屋、巴、氷見
⑬奥寺、小荒井、人見、古寺、笹森、那須、日浦、志岐、武富
【1年くらい前のグループ】
⑭今、来馬
⑮木虎、唯我、絵馬、村上、別役
⑯緑川
⑰黒江、茶野、藤沢
【新入りのグループ】
⑱修
⑲遊真、千佳、夏目、新3バカ

⑥と⑦、⑨と⑩はほぼ同時期ですが、微妙に前後の位置にズレがあるため厳密に分けてみました。【2年くらい前】の米屋たちが10人縦に並ぶ形で収録されていることから、⑥~⑩について、スペースの都合で前後がずれたということはないと思います。あくまで入隊時期の違いにより微妙な前後の差異が生じているものと判断して良いのではないでしょうか。

さて、そもそもどの時点から見ての「○年前」なのかが不明ですが、BBFはJC14巻と同時発売でしたが、その頃だとするとB級ランク戦の時点を指すことになりますし、本誌連載の時点を指すのであればガロプラ戦のあたりですので、いずれにしても作中ではT.C.2016.2月の時期にこのBBFは刊行された資料ということになります。
この時点を基準と断定して「〇年前」を考えて良いのでしょうか?

ボーダーの入隊サイクル

そもそも上記のBBFのグラフでは何をもって「入隊」と規定しているのかには言及がありませんが、作中では「正式入隊日」という概念が登場しています。

「3人分の入隊・転属用の書類だ (中略) 正式な入隊は保護者の書類が揃ってからだが」

第21話:林藤支部長のセリフより

「ボーダー本部の「正式入隊日」っていうのが年3回あって 新入隊員が一斉にC級デビューする日なんだけど」

第22話:宇佐美のセリフより

この話からすると、入隊希望の書類を揃えて提出し、それが受理された時点で正式に入隊したことになりそうですが、次のような話も出てきます。

「いや 迅 おまえの後輩はまだ正式な隊員じゃないぞ 玉狛での入隊手続きが済んでても 正式入隊日を迎えるまでは 本部ではボーダー隊員と認めてない」

第25話:太刀川のセリフより

書類の受理はあくまで玉狛支部での正式入隊であって、ボーダー本部としては正式入隊日を迎えるまでは仮入隊の扱いとなるようです。
年に3回の正式入隊日が等間隔に設けられているとすると、遊真と千佳が入隊した1月以外には5月と9月に設定されていそうですが…

「今までどおりの4か月毎の入隊式じゃ捌き切れないから しばらくは毎月新規入隊を受け付けることになったんだ」

第107話:時枝のセリフより

…との説明がありましたので、正式入隊は1月5月9月の年3回で確定と考えて良いでしょう。

「仮入隊の間に高い素質を認められた者は ポイントが上乗せされてスタートする」

第33話:新入隊員(遊真や千佳たち)に説明を行う嵐山のセリフより

「本来ならば入隊式の前に仮入隊などで能力を見て その実力次第で個人ポイントが上乗せされることになっている」

第159話:新入隊員(ヒュースたち)に説明を行う嵐山のセリフより

嵐山のこの説明と合わせて考えると、入隊希望の手続きが完了した時点で仮入隊、正式入隊日を迎えて一斉にC級隊員となることが正式入隊という扱いのようです。玉狛のような支部での入隊手続きも、林藤支部長は正式入隊という言葉を使っているものの、本部の基準はそれには関係なく、正式入隊日を迎えない限り仮入隊の扱いは変わらないということでしょう。

この基準を前提にするのであれば、BBFの入隊時期グラフは、入隊=本部の正式入隊日を迎えた、という意味で判断して良いかもしれません。

林藤支部長からは、次のようなセリフと説明もあります。

「2月の頭からいよいよランク戦が始まる」
 ランク戦 : 休み
2月 3月 4月 : 5月
6月 7月 8月 : 9月
10月11月12月: 1月

第86話:林藤支部長のセリフおよび背景の説明図より

作中で明言されてはないものの、B級隊員のランク戦のインターバルは正式入隊月に合わせてあり、そこで新人のスカウトやチーム編成の出入りを行い、次のシーズンを迎えるというスケジュールになっているものと思われます。

作中で入隊時期が判明している隊員たち

大まかな入隊サイクルがわかってきたところで、次に入隊時期がある程度特定できる隊員たちがいないか、見ていくことにしましょう。

沢村 響子

BBFのグラフでは②の東と③の沢村で前後していますが、東と同期入隊であることが判明しています。

東さんと同期入隊の25歳。

JC6巻:カバー裏の沢村の解説より

こちらは⑥~⑩のケースとは逆に、縦軸に収まりきらなかったのでずらされたという紙面上の都合かもしれません。

嵐山 准

その沢村・東たちと同期入隊の嵐山ですが、その時期について直接言及されたものがあります。

Q「小南ちゃんと親戚の嵐山さんも彼女と同時期の入隊なんですか?」
A「小南の方が全然早いです。小南は旧ボーダー時代からの古株、嵐山が入隊したのは今の本部の基地ができてからです。」

JC8巻:質問コーナー⑦より

前回の考察で、本部基地の完成時期をT.C.2011.10月~12月と予想しましたが、第1期隊員の入隊はほぼ同じ時期と考えて良いでしょう。

緑川 駿

A級草壁隊の緑川は、約1年前に入隊しています。

「緑川は才能あるし実際つえーけど まだボーダー入って1年かそこら」

第40話:米屋のセリフより

40話は遊真や千佳が正式入隊したT.C.2016.1.8から、アフトクラトルの大規模侵攻が発生する1.20の間の時期ですので、その1年前となるとT.C.2015.1月前後の入隊と考えられます。中学1年生の冬頃の入隊ということになります。

小学校までは緑川と一緒に山奥の分校に通いつつ、魚を獲ったりキノコを食ったりしていたが、市内の中学に進学後、わずか数か月でいっぱしの地方シティガールに進化を遂げた。

JC11巻:カバー裏の黒江の解説より

その緑川と幼馴染で同じ小学校に通っていた黒江は、学年では緑川のひとつ下。中学進学後にボーダーに入隊したのでしょうから、T.C.2015.4月以降か。
⑯と⑰が位置的にあまり離れていないので、⑰はT.C.2015.5月の入隊と考えるのが自然でしょう。緑川に誘われるなどしたか、緑川の後を追って中学入学後すぐに入隊を決めたという経緯かもしれません。

BBFのQ&Aによれば、ランク戦1シーズンにつき1人までの加入であれば降格対象とならないというルールがあるようですので、2人ともその素質を見込まれて現在A級の草壁隊・加古隊からそれぞれスカウトされたのでしょう。
一応可能性としては、B級チームの頃に入隊し、T.C.2015.2月~4月のシーズンや6月~8月のシーズンでA級に昇格して本編の12月を迎えた(→本編でA級隊員として登場)というパターンも考えられます。

村上 鋼

村上については、荒船関係で複数の情報がありますので、そこから入隊時期を絞ることが可能です。

「荒船さんは8か月前まではバリバリの攻撃手で順位もかなりよかったよ」

第90話:緑川のセリフより

8か月と少し前――
「荒船くんが急に攻撃手やめちゃったんだって」

第95話:冒頭および今のセリフより

それぞれT.C.2016.2.5と2.8時点での情報ですので、8か月と少し前はT.C.2015.5月頃になります。

「鋼さんにはサイドエフェクトがあったから 半年ちょっとで荒船さんを追い抜いちゃったってわけ」

第94話:小南のセリフより

この話からすると、村上が入隊したのはT.C.2014.12月より前と考えられますので、9月の入隊ではないでしょうか。5月入隊だと「半年ちょっと」という期間から外れますし、入隊後、荒船に剣を教わり始めるまでの期間が長かったという可能性も考えられなくはないものの、BBFの入隊時期グラフでも⑮と⑯は隣り合っているため、シンプルに⑮はT.C.2014.9月と考えて良さそうに思います。

なお、鈴鳴第1は県外スカウトからの入隊のため、玉狛第2のように支部での入隊手続き自体はもう少し早いのかもしれません。(本部基準では仮入隊扱い)

菊地原 士郎 & 歌川 遼

この2人については、回想シーンから入隊時期の推測が可能です。

ボーダーランク個人総合9位 風間 蒼也(19)
オペレーター 宇佐美 栞(15)
訓練生 歌川 遼(14)

第56話:プロフィールより

風間はT.C.1994.9.24生まれですので、T.C.2013.9.24に19才になり、T.C.2014.9.24で20才になります。
宇佐美はT.C.1998.4.27生まれですので、T.C.2013.4.27に15才になり、T.C.2014.4.27で16才になります。
歌川はT.C.1999.6.10生まれですので、T.C.2013.6.10に14才になり、T.C.2014.6.10で15才になります。

つまり3人の年齢が上記の組み合わせとなる期間は、T.C.2013.9.24~T.C.2014.4.26と限定できるため、この回想シーンはこの期間内のどこかであることがまず確定できます。

この回想では菊地原の聴覚がサイドエフェクト認定され、それを聞きつけた風間がスカウトした様子が描かれていました。歌川は既に風間隊入隊に内諾済みのようです。(BBFによると宇佐美がスカウトしてきたらしい。)

「正隊員になったら俺の作る部隊に来い おまえの力が必要だ」

第56話:風間のセリフより

菊地原は私服ですが、同期入隊と思われる歌川は学校の制服姿。2人とも訓練生のようですので、入隊後の検査で菊地原の聴覚に異常があり、サイドエフェクトであることが判明した、といった場面だったのかもしれません。

この期間での正式入隊日の候補としては、T.C.2013.9月に入隊して9.24に風間が19才になった後の話、というパターンか、T.C.2014.1月に入隊して4.27に宇佐美が16才になる前の話、の2つの時期が考えられます。

照屋 文香 & 巴 虎太郎

菊地原と歌川だけだとこれ以上絞り込めないため、別の方向からも考えてみましょう。

「柿崎さん 2年くらい前にテレビ出てましたよね?」

第142話:照屋のセリフより

142話は前回、ボーダー本部基地の完成時期の考察で触れましたが、今回は柿崎が嵐山隊から独立し、柿崎隊を結成した際の回想シーンになります。
照屋の言うテレビとは嵐山と柿崎が出演した広報イベントを指しており、前回考察したとおりT.C.2012.2月前後の出来事です。
それを2年くらい前と言っているので、柿崎隊の結成はT.C.2014.1~3月頃と考えられそうです。

奈良坂や歌川と新人王を争った俊才 照屋文香
ボーダー唯一(当時)の小学生隊員 巴虎太郎
[新人王]新入隊員でその期に一番個人ポイントを上げた隊員

第142話:テロップより

柿崎の回想ですが、「新人王を争った」と過去形になっているため、入隊後のシーズンが終了した後で隊員募集に応募してきたことになります。

「新入隊員」の定義が不明ではありますが、次の正式入隊日に新たな新入隊員が入隊してくるまでは確実に新人扱いでしょうから、おそらく1月入隊なら2~4月が、5月入隊なら6~8月、9月入隊なら10~12月がそれぞれ新入隊員としての期間になるものと思われます。
この期間の個人ポイントで新人王が争われ、また、4000ポイント以上となってB級に上がっていると、晴れてチームが組めて翌シーズンからのB級ランク戦にも参加できるのではないでしょうか。(シーズン中でもチームは組めるでしょうが、チームランク戦への途中参加は無理なのではないかと思います。)

…となると、柿崎隊の結成が1~3月と予想されるのであれば、照屋の入隊は9月の可能性が高そうです。9月に入隊し、10~12月のシーズンで新人王争いをし、1月のオフシーズンの隊員募集で柿崎隊が結成という流れでしょうか。柿崎の性格からすると、B級ランク戦への参戦を急がずチームとしての基礎固めをしてからランク戦に参加しそうでもありますので、T.C.2014.2~4月のシーズンはまだB級ランク戦は不参加かもしれませんね。

一方、巴の小学校卒業はT.C.2014.3月下旬となりますので、それ以前でなければ「唯一の小学生隊員」が成り立ちません。
T.C.2014年1月入隊と考えた場合、2~4月のシーズン中に柿崎隊の募集・結成が来てしまいますので、照屋の「新人王を争った」と矛盾してしまうことから、やはりこのことからも、照屋と巴は9月入隊と考えるべきでしょう。

なお、オペレーターの宇井に14才のテロップがありますが、T.C.1999.4.26の誕生日から計算される、T.C.2013.4.26~T.C.2014.4.25の期間とも合致します。

念のため、9月よりさらに前の入隊の可能性についても考えておきましょう。
5月入隊だとするとオフシーズンが9月となりますが、この時点で柿崎隊に応募していると、広報イベントがT.C.2012.2月前後ですので「2年くらい前」ではなく「1年半くらい前」の表現になるはず。
「2年くらい前」となるT.C.2014.1~3月頃まで待って柿崎隊に応募してきたという可能性もゼロではないかもしれませんが、新人王を争うくらいなので、間違いなくシーズン中にB級に上がっているでしょうし、フリーであればどこかのチームから勧誘がきていたはず。
チームに入らずに次のシーズンを過ごし(あるいは別のチームに1シーズンだけ所属して抜けるか解散して)、それからタイミング良く独立した柿崎の隊員募集に応募してくるというのはちょっと無理がありそうな印象です。

以上より、照屋と虎太郎の入隊時期はT.C.2013.9月と断定して良いのではないかと思います。つまり同期の奈良坂や歌川たちも同じ9月入隊。

BBFの入隊時期グラフの⑫は全員、T.C.2013.9月に正式入隊した同期と考えて良いでしょう。

まとめ

思ったより長くなってしまったので、ここで一度切りたいと思います。
④~⑪の入隊についても考察していく予定ですが、とりあえずここまでで一旦まとめておきましょう。

BBFの入隊時期グラフの実際の入隊時期は以下のとおり(暫定)

①→城戸司令がスカウトしてきたので本部基地完成前か
②と③→同期、先後ではない
④~⑩→まだ未確定
⑪→T.C.2013.5月の入隊組
⑫→T.C.2013.9月の入隊組
⑬→T.C.2014.1月の入隊組
⑭→T.C.2014.5月の入隊組
⑮→T.C.2014.9月の入隊組
⑯→T.C.2015.1月の入隊組
⑰→T.C.2015.5月の入隊組
⑱→T.C.2015.9月の入隊組
⑲→T.C.2016.1月の入隊組

⑪以降は割とキレイに年3回の正式入隊と合致する形に並べられたので、案外良い予想になっているかもしれません。

香取と染井は⑪ですからT.C.2013.5月の入隊だとすると、中学2年の5月の入隊ということになりますね。前回の考察では進学後、割とすぐに入隊しそうな雰囲気でしたが、意外と遅い印象です。
入隊に関しての年齢制限はないことが明言されていますので、親御さんや親族の理解が得られるまで時間がかかったなどの事情があったのかもしれません。
4人一緒の同期入隊を希望したとすれば、染井の従兄の三浦や、香取の兄の友人という若村が、それぞれ保護者の同意を得るのに時間がかかった可能性もありそうですね。

⑫がT.C.2013.9月でほぼ確定しましたので、風間の菊地原勧誘シーンは19才になった9.24以降の出来事ということになります。
9月に入隊、身体検査等で強化聴覚のサイドエフェクトが判明し、その噂を聞きつけた風間が勧誘しに来たといった流れでしょうか。

B級ランク戦を見る限り、結成したばかりのチームがシーズン途中からランク戦に参戦することはなさそうですので、風間隊の結成自体は早ければ新入隊員のシーズン中かもしれませんが、ランク戦への参加は次のシーズンからではないでしょうか。

木虎は⑮ですから、入隊して既に1年以上。
同学年の修に随分先輩風を吹かせていますが、ボーダー歴で1年先輩なら相応の態度でしょう。同期が絵馬と鋼で、1コ下が緑川、さらにその1コ下に黒江ですから、堤の言うとおり、このあたりの新人がどうかしている。

「いやー一時期の新人が凄すぎただけでしょ 黒江が11秒 木虎が9秒 緑川なんか4秒ですよ?」

第33話:新入隊員の戦闘訓練時、堤のセリフより

修の入隊時期ですが、⑱ですのでT.C.2015.9月、これは物語の開始3か月前という予想になります。

「トリオン」という概念は公表されていないのですか?
B級隊員以上にしか公表されていませんが、C級隊員でもなんとなく話には聞いている様子。

BBF質問箱DX:Q203より

修は5話でレプリカに教えてもらうまでトリオンの存在自体を知らなかった様子でしたので、C級としても日が浅かったものと思われます。
仮に5月入隊だとすると、半年以上在籍していながらトリオンすら知らない、聞いたことがないということになるため、それはそれでかなりヤバいことになりそう…。やはり9月入隊と考えるのが無難でしょう。

イレギュラーゲート発生ラッドの功績でB級に上がれたとはいえ、一応新入隊員のシーズン中にB級に上がっていることになる修ですが、作中では特に目を引く昇進という扱いでもなさそうですので、やはり素質の高い新入隊員は入隊からそう時間をかけずにB級に上がっていっていくのが普通なのかもしれません。

それでは今回の記事はここまで。
次回は二宮~ゾエの入隊時期を考察予定です。
ご拝読ありがとうございました。

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