前回、前々回とトリガーの開発時期の考察を行ってきましたが、今回は最後に残ったスナイパーのトリガーを見ていきます。
考察記事も10本目となりますが、今回もよろしくお願いいたします。
狙撃用トリガー
ボーダーが保有・配備する狙撃手用のトリガーはイーグレット、ライトニング、アイビスの3種類です。
こちらもガンナーの銃型トリガー同様、実装時期が不明ですが、東が「最初の狙撃手」と呼ばれていること、その東が現ボーダーでは最初期の入隊組であることを考えると、かなり早い時期から存在していたポジションではないでしょうか。
現在、入隊時期がある程度判明しているスナイパーを入隊順に並べると次のようになります。
東 → 佐鳥 → 当真・穂刈 ・(荒船)→ 奈良坂・半崎 → 古寺・日浦 → 別役 → 絵馬 → 千佳・夏目 |
Q「やたら弟子の多い東さんですが、佐鳥の師匠も東さんなんですか?」
BBF質問箱DX:Q122より
A「佐鳥は感覚派なので東さんの弟子ではありませんが、ごはんはしょっちゅう奢ってもらっています。」
スナイパーの師弟関係をまとめると、下表のような感じです。
第一次近界民侵攻から東たち第1期生の入隊まで約半年ありますし、同盟国での防衛線の手痛い損失から1年近く経過しているわけですから、佐鳥が入隊した頃にはスナイパー用のトリガーが完成し配備されていそうな気がします。
「かつてのA級1位部隊を率いた最初の狙撃手」という風間の表現からすると、二宮・加古・三輪の第1期東隊の時点で東がスナイパーだったことは確実ですし、東の直接の弟子である当真や奈良坂の入隊時には東が最初の狙撃手として教育・訓練できるレベルに達していたものと考えられますので、T.C.2012には3種のスナイパー用トリガーのうち少なくとも1種類は完成していたのではないでしょうか。
「高い汎用性を誇るベースモデル」とされるイーグレットがまず開発され、軽量化と命中率に特化したライトニングや、対トリオン兵用として火力重視のアイビスがそれぞれ開発されていったものと予想します。
他のポジションとの関係
前回の記事でも少し触れましたが、第一次近界民侵攻の際にその存在が公となった際のボーダー関係者として描写されたのは林藤、忍田、クローニン、小南、迅を含む7名でした。
彼らは全員、孤月を手にしています(小南は短めの孤月二刀流に見える)ので、孤月は旧ボーダー時代に完成したトリガーだったのでしょう。
突如現れた謎の一団が 近界民を撃退しこう言った
第1話:冒頭
「こいつらのことは任せてほしい」
「我々はこの日のためにずっと備えてきた」
一方、銃型トリガーの描写は見られず、トリオンキューブをoffにしただけというシューターなら可能性があるかもしれませんが、スナイパーやガンナーらしき描写が無く、狙撃手用トリガーはこの時点では開発されていなかったという印象を受けます。
城戸司令の下、現ボーダーが急速にその組織を整えていくにつれ、トリガーの技術開発にもトリオンと資金と人員が回せるようになったことで、トリオン消費の激しい中距離・長距離対応のトリガー開発が始まったのかもしれません。
シューターとスナイパーの先後
スナイパーのトリガーはいずれも銃の形状をしていますが、狙撃銃としての形状は同じ銃型のガンナー用トリガーとは見た目でも大きく違いますし、その仕様にも違いがあります。
【スナイパーのトリガー】 撃つ弾はトリガーにかかわらず1種類のみ トリガーの種類によって、トリオン量に応じて特性の性能がアップする 大量のトリオンを消費するため連射ができない 射程が長く、威力も非常に高い |
【ガンナーのトリガー】 4種類ある弾丸トリガー(または合成弾)をセットして撃つ 銃型トリガーは補助的な役割で、射程を伸ばす効果はあるが、使用者のトリオン能力がその性能に影響を与えることはない スナイパーよりトリオン消費が少ない スナイパーより射程・威力が低い |
銃型トリガーの方で状況に合ったトリガーを選択し狙撃するのがスナイパー、弾丸トリガーの方を調節して状況に合った射撃を行うのがスナイパー、使用する弾丸トリガーの選択で銃型トリガーの補助を利用して状況に応じた射撃を行うのがガンナー、という形で整理できます。
そもそもスナイパーは超長距離から決定的な狙撃を叩き込むポジションですので、仕留められなかった場合は姿を隠して次の機会を伺うことになります。
シューターやガンナーのように弾丸自体に細工をして多彩な攻撃方法をとる必要がそもそもないというわけですね。
「トリオンの弾丸の大雑把な構造はこうだ 威力を決める『弾体』 弾体が大気と反応するのを防いで射程を伸ばす『カバー』 その二つを飛ばすための『噴進剤』 この3つにトリオンを振り分けてる 射程・弾速にトリオンを使う分 ほぼ全トリオンを威力に振ってる刃トリガーより破壊力は弱くなるわけだ」
第107話:嵐山のセリフより
スナイパーとの比較もしてほしかったところですが、スナイパーがシューターやガンナーに比べ射程と威力に優れているのは、弾丸の方にトリオンを割く必要がなく、銃型トリガーの方にトリオンを回してその両方の特性を強化しているからではないでしょうか。
…そう考えると、まずトリオンの弾丸が開発され、それを撃つためのトリガーとして開発されたのがスナイパー用の銃型トリガーで、弾丸トリガー自体が進化したのがアステロイドを始めとする弾丸トリガー、そのうちトリオンキューブの扱い方の適性の差を埋めるべく開発されたのが銃手用トリガーといった関係なのかもしれません。
本部基地完成の頃に入隊した第1期をポジションで整理すると、次のようになります。
アタッカー | 太刀川・風間・三輪・沢村 |
シューター | |
ガンナー | 嵐山・柿崎 |
スナイパー | 東 |
トラッパー | 冬島 |
オペレーター | 月見 |
このときの入隊者にシューターがいないことからも、スナイパーが先だったのではないでしょうか。
ちなみに、この次に入隊してくるのが二宮・加古という現在ボーダーを代表するシューターたちですから、彼らが入隊するT.C.2012初頭には弾丸トリガーの開発、実用化に成功していたものと考えられます。
この二人と同期の諏訪がシューターに不向きだったことでガンナー用トリガーの開発が進められたと考えると、全て自然に繋がるような気がします。
嵐山と柿崎は現在オールラウンダーですが、メイントリガーはいずれもガンナー用のアサルトライフルで、サブにスコーピオンをセットしています。
ガンナーはシューターから派生しているためまだガンナーというポジションはなかったはずです。スコーピオンも開発前ですから、当時は弧月使いのアタッカーだった可能性が高いでしょう。翌年の2月には正隊員に昇進して広報イベントに参加しているわけですから、アタッカーとしてB級に上がったのではないでしょうか。
弧月でそれなりにポイントを稼いでいた頃に銃型トリガーが開発されガンナーに転向、スコーピオンが開発されると弧月より取り回し易いスコーピオンに乗り換えてオールラウンダーとしてのスタイルを確立したのでしょうか。
狙撃手同士の人間関係
第118話で描かれた、スナイパーの合同訓練「捕捉&掩蔽訓練」では、スナイパーの実力の一端が垣間見えます。
1位:奈良坂 2位:佐鳥 4位:半崎 5位:穂刈 7位:荒船 9位:古寺 11位:日浦 13位:別役 19位:千佳 25位:絵馬 51位:当真 64位:夏目 |
訓練をマジメにやらない当真や絵馬ですが、スナイパー1位の当真が的中させたのは、佐鳥・絵馬・穂刈・奈良坂・古寺・日浦・千佳・別役・荒船・夏目・半崎(その他、不明1人)の12名。
これまでに登場したスナイパーがほぼ出揃っていることから、実力者を始め、親しいキャラクターばかり狙い撃ちにしているのでしょう。
ここで名前の挙がっていないスナイパーで上位チームに在籍する、実力のありそうなキャラクターは、生駒隊の隠岐、弓場隊の外岡くらいしかいません。
A級のスナイパーには他に草壁隊の宇野、片桐隊の桃園もいますが、いずれもこの時点ではスカウト旅で不在のはず。
片桐はガンナーでありながらメインにアステロイドとメテオラをセットし、サブにイーグレットをセットする異色のトリガー構成ですが、仮に普段はスナイパー訓練にも顔を出していたとしても、このときはやはりスカウト中のはず。
東もちょうどガロプラ・ロドクルーンに対する緊急防衛対策会議に出席中で訓練には出ていない様子。
順当に3位と6位には隠岐、外岡がそれぞれどちらかに入るとしても、他に名前が判明している正隊員はB級下位となる海老名隊の乙川、常盤隊の斎藤のみ。
仮に18位までに入れたとしても、千佳の上にはまだ6人の実力者がいるということになります。(捕捉&掩蔽訓練だけ得意とかいう隊員もいるかもしれませんが)
BBFでほとんど全ての正隊員の情報が出揃っているため、B級でチームに所属していないスナイパー(かつての当真のスタイルですね…)か、前途有望なC級の実力派スナイパーがいるのでしょうか。
「でも上位15%はまだ遠いわー 正隊員含めての15%だし」
第163話:夏目と絵馬のセリフより
「そうは言っても正隊員は訓練休む人もいるし マジメにやらない人もいるよ C級の中でトップ5ぐらいに入ればOKなんじゃないの?」
訓練生まで含めて約120名のスナイパーのうち、上位15%がB級の目安とされているとのことですから、18位あたりがボーダーライン。
千佳は修と遊真のポイントを移してB級に昇進しましたが、実力的にもB級レベルに到達しつつあるようです。
そして、確かにC級で5位以内であれば正隊員の下位レベル相当になりますね。
スナイパーの入隊時期と師弟関係との相関関係の有無をまとめてみましょう。
入隊時期 | 師弟関係あり | 師弟関係不明 |
T.C.2011以前 | レイジ・東 | |
T.C.2012 | 佐鳥 | |
T.C.2013 | 当真・荒船・奈良坂 | 穂刈・半崎 |
T.C.2014 | 古寺・日浦・絵馬 | 別役 |
T.C.2016 | 千佳・夏目 |
一方、入隊時期が不明で師弟関係がはっきりしているのは鳩原。
入隊時期が不明&師弟関係が不明な正隊員は、宇野・桃園・隠岐・外岡・乙川・斎藤の6人です。
当真と同期の穂刈、奈良坂と同期の半崎もそれぞれ東の弟子でもおかしくなさそうですが、特に公式に言及されたことはありません。
ここでも東の経歴が鍵に…
奥寺・小荒井・人見はT.C.2014.1月入隊なので、2~4月のシーズンを新人として過ごし最短でもその新人期間中か、普通に考えればその後のオフシーズン(または次シーズン以降)にチームを組んだはず。
奥寺と小荒井はBBFの時点でトリオンが5と4、攻撃が6と7、機動力が8、技術が7と6、と数値的には割と平均的な数値です。
新人王争いをするほどの素質はなかったかもしれませんが、B級に上がるまでに相当苦労したと思われるほどの数値でもありません。
奥寺や小荒井と同期の古寺、日浦が東ではなく奈良坂に弟子入りしているのは、東が第3期東隊を結成しフリーではなくなったためでは?との推測もできそうです。
まとめ
旧ボーダー時代:孤月が開発される ↓ T.C.2011.10~12月:本部基地完成、第1期入隊、この頃までにイーグレット開発? T.C.2011(下半期?):アステロイドが開発される ↓ T.C.2012初頭:二宮・加古・諏訪が入隊、シューターが誕生?ガンナー用の銃型トリガーの開発に着手? ↓ T.C.2012(上半期?):ハウンド・バイパーが開発される ↓ T.C.2012(下半期?):スコーピオンが開発される ↓ T.C.2013.5:入隊スケジュールが固定化、ランク戦始まる? この頃までには銃型トリガーが開発・配備されていた? ↓ T.C.2013末頃:玉狛支部が独立、クローニンが専属エンジニアに? T.C.2013末~T.C.2014初頭:雷蔵がエンジニアに転向 ↓ T.C.2014(上半期?):レイガストが開発される、シールド性能が強化 T.C.2014(上半期?):フルアームズ・双月・コネクターが開発される ↓ T.C.2014(下半期?):メテオラが開発される ↓ T.C.2015(下半期?):ガイストが開発される T.C.2015.10~11月頃:烏丸と宇佐美が玉狛支部に転属 |
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