T.C.2008

T.C.2008

旧ボーダー終焉の年

現在のボーダーが発足したのは第一次近界民侵攻後にボーダー本部基地が完成した頃とされていますので、それまでを旧ボーダーとするとT.C.2009まで存続していたと考えても良いかもしれませんが、従来の活動ができていたのはこの年が最後と思われます。

あら 懐かしい写真 6年くらい前ね

第162話:ゆりのセリフより

162話はT.C.2014の2月23日ですからそこから「6年くらい前」はT.C.2008年の上半期あたりでしょうか。1月より前になると「6年と少し前」といった表現になりそうですし8月以降だとすると「5年半くらい前」になってしまうでしょう。また、写真の服装から冬や夏ではなさそうですから、3月~5月頃に撮られた写真でしょうか。

みんな死んでしまったわ 5年と少し前の戦いで(中略)同盟国のひとつが 「こっちの世界」に近い軌道上にあってね その国が別の国に襲われたの 私たちは同盟国に加勢して戦ったわ それが同盟国との約束だったし 放っておくと「こっちの世界」まで巻き込まれるところだったから 「こっちの世界」まで攻め込まれる前に「敵の国」はなんとか追い返したけど 犠牲も大きかった

第162話:ゆりのセリフより

こちらは「5年と少し」ですからT.C.2008の終盤~T.C.2009初頭の時期が候補になります。
他にも時期を絞り込める情報を浚っていってみましょう。

この上っかわの3つの丸は そっちの世界にある『3つの同盟国』を表してる デクシア メソン そしてアリステラ
お察しのとおり アリステラは5年と少し前の戦いで滅んだ

第201話:林藤のセリフより

201話はT.C.2014の3月10日前後と考えられるため、こちらに比重を置くと年が明けてT.C.2009年の出来事のように思えます。

最上さんは五年前に 黒トリガーを残して死んだ

第19話:林藤のセリフより

一方こちらの19話はT.C.2013の12月14日ですが、「五年前」と断言していることから、ここからきっかり5年前とするとT.C.2008の12月も有力候補か。

また、林藤によると当時「生まれたばかりの王子」だった陽太郎ですが、その誕生日は9月22日です。そのまま文字どおりに受け取るとアリステラの滅亡は10月頃の出来事だった可能性もありそうですが、第201話でクローニン(と思われる人物)に抱えられた陽太郎は確かに生後間もない月齢に見えます。

どうも おうじさまです

クローニンの身長はまだ公開されていませんので、他の人物との比較で割り出してみます。意外と立って並んでいる描写が少ないため、第1話のクローニンと思しき人物から計算します。
林藤(179㎝)よりやや背が低いものの175㎝前後はありそう。一般的に両手を広げると身長と同じ長さと言いますから体の中心線から指先までの長さを約87㎝程度とすると、肩から指先までは概算でその4分の3として65㎝くらい。
肘を直角にして陽太郎を抱えているとした場合、肩~肘と肘~指先の比率をざっと1:2として肩から指先までの距離を計算するとだいたい48㎝といったところでしょうか。
やはり新生児ですね。個人差があるとはいえ、12月の出来事であればもう生後3か月になりますから60㎝近くはあってもおかしくないはず。しかし60㎝となるとクローニンの身長の約3分の1近くはあるはずで、さすがにそうは見えません。

ちなみに陽太郎の身長はBBFによると98㎝だそうです。5歳の平均身長からするとかなり小柄なんですね。

以上のことから、アリステラが滅んだのはT.C.2008の10月頃ではないかと予想します。

現ボーダーへの変遷期

このアリステラの防衛戦で旧ボーダーはその大半のメンバーを喪っています。写真に写る19人のうち10名が亡くなり1人が組織を離れ、残った8人のうち城戸・忍田・桐山は現在のボーダー本部に、林藤・ゆり・レイジ・小南・迅が玉狛支部に残っています。

19人のうち10人は死んで そのうち何人かは黒トリガーになったわ

第162話:ゆりのセリフより

黒トリガーを手に入れたとはいえ、少数精鋭とされた旧ボーダーの半数を近界での戦争で失った旧ボーダーは組織の立て直しを迫られることになります。アリステラ滅亡の経緯が明らかにされたことで、旧ボーダーから現ボーダーへの変遷の過程も少しずつ見えてきました。

アリステラ王家は混乱の中 密かに母トリガーを…… 当時まだ子供だった王女と 生まれたばかりの王子に継承させ 滅びゆく星からこちらの世界へ逃がした 『ボーダー』はその脱出を助けた

第201話:林藤のセリフより

この陽太郎の姉…… つまりアリステラの『王女』だな 今はその子が 母トリガーを動かしてる そこから生まれるトリオンをコンピューター…… えーとつまり機械で調整して 『ボーダー』はあれこれやってるってわけだ (中略) 『神』がいないから よその母トリガーに比べると 出力はめちゃくちゃ小さい
第202話:林藤のセリフより

窮地を脱した旧ボーダーですが同盟国のひとつを失い組織も半壊、防衛力の不足も痛感したことでしょう。このことが城戸の主導する現ボーダーへと繋がっていったものと思われるのですが、現在も城戸派・忍田派・玉狛派という勢力争いが残存していることから、すぐに城戸の方針を軸にまとまって再出発した様子は窺えません。

また、現実問題として玄界の人間が亡くなってしまっている以上法的な手続きが必要になったはずですし、人が死亡しているという事実があるため警察や司法の介入にも対処しなければならなかったでしょう。アリステラの亡命者も密入国や不法滞在扱いにならないよう唐沢が奔走したことが作中でも示唆されていました。これらの実績を積み重ねて城戸の路線が主流派を形成していったものと思われます。

貴様ら近界民に 我々の法は適用されんからな

第104話:鬼怒田のセリフより

また、若者を含む10名近くが亡くなっている以上メディアが嗅ぎつけないはずがないので、根付も相当動いたのではないでしょうか。さすがに遺族に記憶封印措置をといったことはないと思いますが…。

今のボーダーが短い間にこれだけ大きくなったのは 城戸さんのやり方の成果だってことは みんなわかってるわ

第162話:ゆりのセリフより

おそらくこれらの対応に追われ態勢を立て直す前に、翌年の第一次近界民侵攻を迎えてしまうことになったものと考えられます。

アリステラ防衛戦と第一次近界民侵攻の関係性について

作中ではまだ明言されていませんが、このふたつの戦争で会敵した近界民は同じ勢力だったのでしょうか?ゆりのセリフからは、アリステラで戦った勢力は玄界にまで侵攻される前になんとか撃退したといったニュアンスを感じます。

敵勢力の目的も不明なためその撤退理由も判然としませんが、少なくとも玄界まで侵略しようとしていたフシは見られたようですから、単にアリステラの滅亡や母トリガーの奪取が目的だったというわけではなさそうです。

勝利目前まで攻め込んだ大国が 黒トリガーの逆襲を受けて敗走した例が過去いくつもある

第162話:修の回想より

このシーンではゆりの話を聞いて修がイメージしただけですので、実際に黒トリガーに適合して起動し、その戦力が戦争に決定的な影響を与えたかまでは明言されていません。ただ、黒トリガーによるものにせよそうではないにせよ、大きな被害を受けて撤退したのは事実でしょうから、同じ国が態勢を立て直して約半年後に玄界に攻めてきた可能性もゼロとは言いきれません。

まもなく3つの惑星国家がこちらの世界と接近する

第117話:忍田のセリフより

敵はまだ一月近くは接触軌道上におる

第136話:鬼怒田のセリフより

作中で117話が2月16日で136話が2月19日ですから、ガロプラの軌道では門を開いて侵攻できる期間はおよそ1か月前後と見られます。軌道により多少の長短があるでしょうけれども、さすがに2倍3倍の期間ということはないでしょうから、仮に第一次近界民侵攻がアリステラと同じ国家だった場合、既に軌道から外れてかなりの月日が経っているはずですし、国伝いに攻めてきたか軌道に依存しない乱星国家と考えられるでしょう。

惑星国家のように決まった軌道を持たず 星ごと自由に飛び回る「乱星国家」も近界には存在する

第42話:レプリカのセリフより

………! 「乱星国家」………!

第42話:城戸のセリフより

アリステラも敵性国家が接近しているとわかっていれば星ごと滅亡するような惨事にまではなり難いでしょうから、乱星国家による不意の襲撃だったのかもしれません。城戸司令のリアクションも意味深です。

しかし、アリステラを滅亡させた勢力が第一次近界民侵攻の犯人だったとすると、逆に被害が少なすぎるようにも思えます。その当時の描写からも主力はほぼ全てトリオン兵で構成されていたようですし、同盟国による援軍も見込めず防衛力の低下した玄界を好機と見てトリオン能力者やトリオン器官の強奪を目論んだ第三国による侵攻だったと考えた方がしっくりくるような気がします。

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